クルーズでは終日航行日で、しかも天候も順調で狭水路など船舶の往来も殆ど予測されないような、ブリッジ当直に比較的余裕のあるときはブリッジツァーが行われることがあります。
但し、中型以上の客船では操船の中枢であるブリッジに団体で押し掛けると運航に支障を生じる畏れもあるので船内新聞などで公表することは少なく、予め把握している希望者の中から一度に数名程度案内してくれます。
プライベートヨットのような小型船ではパッセンジャーに解放しているものもありますが、入出港前後とか海峡通過などブリッジが緊張していることもあるのでいきなり踏み込むのは遠慮すべきだと思います。
今回のクルーズでもサンフランシスコ出港時に、「ちょっとキャプテンに挨拶してくる」とブリッジに向かった方がいました。
本船の大事なお客さんですからキャプテンは対応されたと思いますが上記の様な配慮が出来ることが望まれます。
日本の船舶では今でも神棚が設けてあり、榊などを生けて航海祈願をしています。
正面の窓ガラスで枠の中央に丸いリングのようなものが見えるのがクリア・ビュー・スクリーンです。
時化(シケ)のとき、激しい雨が正面から吹き付けるときは航路障害物の監視に必要な前方視野が妨げられることがあります。
そのときモーターでリング内部の板ガラスを高速回転させ、雨滴を遠心力で吹き飛ばして視界を確保するのです。
極地ツァーなど寒冷海域を航行する船には窓に凍結防止用のヒーターを備えているものもあります。
レーダーなど電波航海計器もありますが最終的には人間の視認による判断が必要になります。
窓ガラスは上部にフィルターが設けられているものもあり、ブリッジフロント(外側)にはガラス拭きのためのステップも用意されています。
私は天気が良ければブリッジから舷側に突き出た暴露部で、顔に当たる風を感じながら水平線を眺めるのが好きです。
クルーズ出航の翌日で、その明くる日が航行日であればキャプテン主催のウェルカム・パーティが催されます。
乗船日はフォーマルウェアをプレスしたり、レディは美容室に行ったりするのが忙しいからです。
会場の入口で正装のキャプテンにソーシャル・オフィサーがゲストを一人ずつ紹介し、にっこり握手して記念写真に収まります。
このためゲストが揃うまで、本船専属バンドの演奏でダンスが踊られます。
米国のシニアレディは昼間、手摺りを頼りにゆっくり歩いている人でも、フロアに立つと優雅に踊るので驚かされます。
クリスタル・シンフォニーではスターライト・クラブがパーティ会場に充てられていました。
普段はディスコとなる広いホールで、カウンター・バーもあります。
パーティではご婦人は連れの紳士がエスコートしますが、一人で見えたご婦人には本船のスタッフが代わってエスコートして席まで案内します。
左の白いジャケットがそうです。
彼はさすがに決めていますが我々日本人には何となく気恥ずかしいものがあります。
写真の右隅が入口で、ここでキャプテンとソーシャル・オフィサーが一人ずつお迎えし、待機しているカメラ・パースンからフラッシュを浴びるのです。
その手前では着席したゲストにドリンクをサービスしています。
勿論、ご招待ですからルームナンバーやIDの記入もサインも不要です。
クルーズ客船らしい雰囲気を感じさせるひとときです。
司会のマクファーランドから紹介されるホルスト船長です。
挨拶の中でキャプテンは、このクルーズの今後の予定や更にその後のカリブ海、セントローレンス航路などの紹介をしていました。
このキャプテンはクリスタル・ハーモニーとクリスタル・シンフォニーの両船に乗船することがあるので、この日のスピーチではクリスタル・シンフォニーと言うべき処をクリスタル・ハーモニーと発音し、すぐ気がついて訂正していました。
この船にはキャプテンが3人乗務しています。
ほかの二人は Vice-Captain と Deputy Captain です。
どちらが席次が上なのかすぐには判りませんでした。
このほか本船のチーフ・オフィサー・クラスも船長資格を持っているので船長協会の支部が出来ても不思議ではありません。
キャプテンのスピーチの終わりに恒例のシニア・スタッフの紹介がありました。
シニア・オフィサーと言うこともありますがホテル・マネジャーなども含まれるのでシニア・スタッフとしました。
2人の副船長、機関長、ホテル・マネジャー、クルーズ・ディレクターなどです。
本船には500人近い人達が乗り組んでいます。乗客2人に1人の割合になります。
航海部・機関部などオフィサーの所属は制服の袖章(金筋)の間の色で表すことが多いのですが本船では機関士にはエポレット(肩章)にプロペラマークが金糸で付けられていました。
色で所属を表示する場合は、航海部は「なし(制服の服地)」、機関部は「紫」、通信部は「緑」、事務部は「白」、医務部は「赤」が使われます。
このシニア・スタッフが揃って一礼するとパーティのお開きと言うことになります。
クルーズでは何回かブロードウェイ風のミュージカル・ショーが演じられます。
このクルーズでもミュージカル映画などでもお馴染みのロジャース/ハマースタインのヒット作品からのステージなどが上演されました。
ダンサー達はこの日も汗だくになりながら本番並みのリハーサルを行っています。
「回転木馬」、「サウンドオブミュージック」、「王様と私」、「南太平洋」などミュージカルのエッセンスをメドレーで一気に演奏していました。やはり、大型クルーズ船の呼び物の一つだと思います。
但し、このようなショーも著作権の関係で、残念ながらページに掲載することは出来ません。素晴らしい雰囲気を御想像下さい。