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蒼空を往くクルーザーの伝説(1)


第1章 客船と飛行艇と飛行船

第1節 航洋客船

 客船史上でもエポックメーキングな「オイローパ」・「ブレーメン」が建造されたのは1920年代後半である。

ブレーメン
オイローパ
[W.H.Miller:"The Great Luxury Liners" Dover 1981 P40]
[W.H.Miller:"The Great Luxury Liners" Dover 1981 P38]

 第二次世界大戦を生き延びた「オイローパ」はフランスに譲渡されて「リベルテ」となった。
 「ブレーメン」・「オイローパ」として一緒に扱われることが多いが、船体の仕様も造船所も異なるので姉妹船ではない。
しかし、北ドイツロイド社の両船は、太い2本煙突・上部構造前部の曲面など外観のイメージに共通点が多く、準姉妹船と言ってもよい。
両船は1933年にイタリアラインの「レックス」に奪われるまでブルーリボンの好敵手でもあった。

「ブレーメン」には就航時、後甲板に水上機を射出するカタパルトが設けられた。ドイツから北大西洋を横断してニューヨークに近づいたところで搭載していた水上機を発進させて郵便物を届ける目的である。

この郵便機にはハインケル58型水上機「アトランティーク(D1919)」が用いられた。

ブレーメン船上のアトランティーク号(D1919)
[Axel Boder:"Schnelldanpher BREMEN"1980 P33]

イタリア・ラインの「レックス」については「コンテ・ディ・サボイア」とともにブレイナード氏が彼の著書の中で貴重な写真や、当時のエピソードを交えて詳細に紹介している。
本の体裁はコンパクトであるが、豊富な写真と彼の手になるペン画で、薄命の両船を余すところなく記述した名著である。
レックス
[W.H.Miller:"Pictorial Encyclopedia of Ocean Liners,1860-1994" Dover 1995 P108]

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