大東亜戦争が始まっていないときか、始まったとしてもまだのんびりした頃、数家族連れだって中洲に行ったことがある。
船尾に船頭が前を向いて立ち、両舷に交差した櫂を漕ぐで渡して貰った。
子供達は貝を掘ったり、水溜まりに残った小魚を追ったりして遊んでいたが、大人達は小蟹(シオマネキ)を捕っていた。
九州の有明海は潮が引くと遙か沖まで干潟になり、ムツゴロウのような魚が泥の上を歩き回り、蟹や蝦蛄が孔から出てくる。
佐賀県の有明海寄りでは蟹を採ってすり鉢で潰し、塩や唐辛子を入れて蟹漬けを作る。
これを九州モンは がに漬けとかがん漬けと呼んでいる。
淡水にも九州から移住してきた人が多かったから休みの日に中洲に渡ったのであろう。