浚渫運転支援装置の本体は筐体にまとめた。
ハードウェア構成はボードモジュールのミニコンピュータ
CPUボード(16ビットマイクロプロセッサ、MMU、高速演算チップなど)
メモリボード(MOSRAM:128KW、ブートROMなど)
インターフェースボード(シリアルポート:4ポート、
パラレルIOインターフェース、16ビットIO:2ポート、
セントロニクスインターフェース、
フレキシブルディスクインターフェース)
AD変換器、マルチプレクサ(12ビット:30チャンネル)
電源部
などをコンパクトな筐体に納め、既存のポンプ船(カッターサクション浚渫船)の運転室に設置出来るように、その頂部に80桁プリンターを設置した。
最下部に電源ユニット、その上にコンピュータボード類、さらにその上に収録したデータを収録するカートリッジテープユニット、一番上にフレキシブルディスクユニットを組み込んだ。
当時、まだコンピュータシステム構成は試行錯誤段階で、今日標準的に用いられているハードディスクや大容量LSIは用意されていなかった。
浚渫船の作動時には揺れや振動があり、岩石が吸入管から吸い込んだときには衝撃も発生する。
このため、フレキシブルディスクベースのオペレーティングシステムには多少懸念もあったが実稼働運転期間中、正常に作動すれば良い試作システムということで、これを採用した。
DEC社のリアルタイムオペレーティングシステムには、マルチユーザー用のRSX11とシングルユーザー用のRT11があったが、オーバーヘッドの比較的少ないRT11を採用した。
浚渫運転の状態監視を含む支援システムのアプリケーションソフトウェアはFORTRANでコーディングを行った。
ただ、カッターやポンプの動力や掘削しているポイント情報などリアルタイムのデータ収録ルーチンはFORTRAN言語では記述できず、そのサブルーチンのみ数ステップのアセンブリ言語でコーディングした。
プログラマとしてはある程度経験していたつもりであったが、リアルタイムシステムを構築するのは初めての良い経験であった。
その後、C言語、BASIC、Javaなどを業務で使うようになった。