2010年08月02日
飛行船四方山話(199):自動操舵装置
航洋船舶にはオートパイロットが装備されているが・・
[区分]装備:航行計器
[難易度]上級
[問題]
「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」にはトリムや方位を検知して補正する自動操舵装置が装備されていたでしょうか?
次のうちから正しいと思われるものを選んで下さい。
1.方向舵、昇降舵とも自動操舵装置は装備されていなかった。
2.のちに方向舵に自動操舵装置が追設けられた。
3.方向舵、昇降舵とも自動操舵装置が設けられていた。
4.自動操舵は困難であり、代わりに操船支援装置が設けられた。
[答]
2
[解説]
当時の飛行船では、航洋船舶と同様にマグネット・コンパスとジャイロ・コンパスが装備されていました。
そのほか操縦室には飛行船特有の計器として傾斜指示計、浮揚ガスやバラスト水の指示計とそれぞれの解放バルブなどがあり、各エンジンゴンドラの運転状況を監視し、制御を指示するためのテレグラフがありました。
就航後、比較的穏やかな状態が続くとき、操舵手に代わって方向舵を自動操舵する方式が導入されました。
風の影響などで船体が進行方向から偏った場合、ジャイロ信号からその偏角を検出して自動的に方向舵を操作するものです。
しかし、昇降舵の操作は熟練を要し風向や風速、気温の変化を先読みしてトリムが生じる前に押さえ込む必要があると言われるほど難しく、緊急時にはバラスト水を投棄したり、浮揚ガスを排出する必要もありました。
そのため昇降舵の自動操舵は行われていませんが、舵輪を廻して昇降舵角を調整する代わりに上下の押しボタンが設けられました。
のちに建造された「LZ129:ヒンデンブルク」では方向舵、昇降舵ともアンシュッツの自動操舵装置が組み込まれましたが、これで操船するのは穏やかな状態の航行のみで離着陸などはすべてマニュアルで運航されました。
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