2010年06月30日
飛行船四方山話(176):操縦室とエンジンゴンドラの交信手段
エンジンゴンドラには操機手が乗っていた・・。
[区分]装備・通信
[難易度]初級
[問題]
「グラーフ・ツェッペリン」や「ヒンデンブルク」のような飛行船にはエンジンゴンドラが何基か取り付けられ、そこにエンジンが設置されていました。
それぞれのエンジンゴンドラには3直交替で操機手が乗り込んでいましたが、操縦室から各エンジンの操機手に出す指示や、その応答に用いられていた通信手段は何だったのでしょうか?
1.(有線)電話
2.トランシーバー
3.伝声管
4.エンジンテレグラフ
[答]
4
[解説]
無線電話は、第一次大戦直後に建造された「LZ120:ボーデンゼー」には地上との交信用に試験的に装備されていました。
しかし、耳を聾するエンジンの機側では大声を上げてもエンジンの轟音でうまく交信できなかったと思います。従って、有線・無線を問わず電話は役に立ちませんでした。無線の場合はそれぞれのエンジンと混信しないように個別の周波数(チャンネル)を使わなければなりません。
航洋船舶のブリッジ(船橋)と機関室とのあいだで指令を伝達するエンジンテレグラフが飛行船にも用いられました。これは双方に指示盤と操作用レバー、それに先方からの指示/応答が表示される指針が一体となったものです。
指示を出すときには先方に判らせるためにレバーを2〜3度振り、「減速」とか「増速」あるいは「停止」のポジションにセットします。
先方がこれを受け取り、機側で操作を行ったあと同じようにレバーを操作して相手の指針を動かします。
これでその指示が伝達され、実行したことを確認できます。
伝声管も船舶で使われていましたが、ブリッジから休息していた船長/艦長や司令官に状況を報告するようなときに用いるものでエンジンゴンドラなど騒音のなかでは役に立ちません。
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