2010年06月19日

*** 当ブログは2014年5月末に引っ越しました…新しい「紺碧の海」はこちらです ***

飛行船四方山話(165):上空から訪れた都市

LZ127_ElPaso_1.jpg

[区分] 航行・世界周航

[難易度]初級

[問題]
「グラーフ・ツェッペリン」は世界周航でフリードリッヒスハーフェンから霞ヶ浦、ロサンゼルスの2ヶ所に着陸したあと、アリゾナ、ニューメキシコ、テキサス、オクラホマ、カンザスとアメリカ合衆国中部を航行し、東北部の諸都市に上空から挨拶してニューヨーク郊外のレークハーストに着陸しました。
次のうち、世界周航で通過していないのは何処でしょうか?

1.シカゴ
2.デトロイト
3.クリーブランド
4.ワシントンD.C.

[答]

[解説]
ロサンゼルスをやっとの思いで離陸した「グラーフ・ツェッペリン」は、浮揚ガスの不足からロッキー山脈の南を回るために海上に出て、サンディエゴから東に針路を取り、アリゾナ州ユマに向かいました。
夕刻アリゾナとニューメキシコの州境を越えてエルパソに行きましたが、グランドキャニオンを見ようと引き返しました。
しかし、期待した美しい景観は見えず、昇る太陽で暖められた大気が乱気流を起こしており、最初は気がつく程度であった揺れがだんだん激しくなり、昼食のテーブルで食器類が飛び跳ねて、荒天中の洋上船舶のように食卓に食器枠を上げなくてはならなくなりました。
上昇気流により一気に200〜300メートル持ち上げられ、同じだけ引き落とされました。
エッケナー博士は大戦中、サハラ砂漠を横断していた飛行船で、荒天に馴れているはずの乗組員の大半が乗り物酔いになったという報告を思い出し、今後は可能な限り砂漠上空は飛ばないことにしようと決心したと述懐しています。
そこからテキサス、オクラホマ、カンザスを通り、アーカンソー、ミシシッピ、ミズーリの支流を越えシカゴで大歓迎を受けました。
そこからデトロイト、クリーブランドと五大湖周辺の都市をまわり、アクロン経由ニューヨークへ行きレークハーストに着陸しました。
翌日ホワイトハウスに招待されていますが、このときはワシントンD.C.上空は通過していません。
ワシントン上空からの写真は、前年の秋に最初の訪米をしたときに撮影されたものです。

Comment on "飛行船四方山話(165):上空から訪れた都市"

"飛行船四方山話(165):上空から訪れた都市"へのコメントはまだありません。