2010年06月13日
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飛行船四方山話(159):ボーデン湖の水
飛行船は着陸時にバラスト水を投棄する
[区分] 航行・世界周航
[難易度] 中級
[問題]
「グラーフ・ツェッペリン」が東京と横浜に表敬したあと、霞ヶ浦に着陸しました。
そのときに姿勢制御のため投棄したバラスト水が盛装で出迎えていたご婦人に、滝のように降り注ぎました。
指令のエッケナー博士は、着陸後謝罪に行ったのですが、この件はどういう結末になったでしょうか?
1.飛行船指令が謝罪して見舞金を支払った。
2.着陸場を管理していた霞ヶ浦航空隊の責任が問われた。
3.お詫びに飛行船内部を案内し、サロンでお茶をサービスした。
4.その婦人の機転で円満におさまった。
[答]
4
[解説]
霞ヶ浦に着陸するとき「グラーフ・ツェッペリン」は着陸直前にエンジンを止め、船首から着陸用索を下ろしました。水兵が索を取り曳航を始めたときに斜め下から突風が吹き、船尾が浮いて船首が下がったので接地を避けるために、バラストホーゼ(脚荷水袋)からおよそ150キログラムのバラストを緊急投棄しました。
そのとき、主賓席に近づき過ぎていて、はるばる故国から来訪した飛行船を待っていた在留ドイツ人の上にバラスト水が放出されました。
ザムト船長の著書では、エッケナー博士はまたも外交上の紛糾をもたらすことを心配して、謝罪に行ったと記しています。
フォン・シラー船長によると、バラスト水を浴びたのはシュヴァーベン出身の令嬢であったと書いています。
エッケナー博士が謝罪に行くと、彼女はにこやかに「何て素晴らしいことでしょう!これはボーデン湖の水なのよ!」と言ったそうです。
この言葉で皆、賑やかな大笑いになり、一件落着となりました。
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