2010年06月08日

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飛行船四方山話(154):ウィリアム・ベートマン・リーズ氏とは誰か

LZ127Seven.jpg

リーズ氏とは誰だろう・・

[区分]人物・乗船客

[難易度] 上級

[問題]
「グラーフ・ツェッペリン」世界周航の乗船客の一人に、ウィリアム・リーズ氏という人物が居ました。
グラモフォンの蓄音機を持ち込んで、チャールストンとかジャズのレコードを掛けていたこの人物に当てはまらない事項を選んで下さい。

1.アメリカの錫財閥の莫大な遺産の相続人
2.ロマノフ王朝、ニコライ1世の曾孫クセニア公女の配偶者
3.ギリシャ国のクリストフォロス王子の嫡子
4.ニューヨーク、ロングアイランド在住の社交界の花形

[答]

[解説]
世界周航の乗船者で、実際に乗船料金を支払ったのは2人だけだったと言われています。その一人である大富豪の遺産相続人リーズ氏について限られたスペースで紹介することは出来ませんが、設問に関連する事項を紹介します。
ギリシャ国王ゲオルギウス1世と王妃オルガの末子として、クリストフォロス王子が1888年ロシアで生まれました。クリストフォロス王子はポルトガル、リトアニア、アルバニアから国王になって欲しいと打診されましたがこれらを辞退しています。
そして1920年にアメリカ人女性ナンシー・スチュアート・ワシントン・リーズと結婚しました。ナンシーには前夫と死別し、離婚履歴もあった平民であったために結婚まで6年の歳月が必要だったと言われています。
ナンシーの2度目の夫はアメリカの錫財閥で大変な遺産を残しており、ギリシャ王室は彼女の財力を頼っていました。
クリストフォロスとの間に子供がなかったので前夫との子、ウィリアムと養子縁組をして姪にあたるクセニア王女(クリストフォロスの姉マリア・ゲオルギエヴナの娘)と結婚させたのです。
1921年10月9日にパリで結婚式を挙げ、ニューヨーク、ロングアイランドのオイスターベイ・ケンウッドに住み社交界の花形でした。
1925年2月25日に娘、ナンシー・ヘレン・マリー・リーズが生まれましたが、ウィリアム・リーズは「グラーフ・ツェッペリン」に乗船した翌年クセニアと離婚しました。
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上掲の写真は「グラーフ・ツェッペリン」船上で撮影されたものです。
写真の説明には、左からリチャードソン少尉(米海軍)、ローゼンダール中佐(同)、ヘロニモ・メヒアス博士(スペイン)、ヨアヒム・リカルド大佐(スペイン)、ウィリアム・リーズ氏(アメリカ)、レーマン船長(DELAG)、極地探検家ヒューバート・ウィルキンス卿(イギリス)とありますが、椅子に掛けているのがリーズ氏で、その後ろに立っているのがレーマン船長だと思います。

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