2010年06月01日
「グラーフ・ツェッペリン」の航行記録
昨日到来したルドルフ・ヴォルフ著「マイバッハ・エンジンと自動車」の内容を見て驚いている。
航洋船舶では航海日誌がつけられており、その航海は就航から第1次航、第2次航として公式に記録されている。
ツェッペリン飛行船では、航海日誌も航行記録も船舶に準じてつけられていた。
「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」は1928年9月の第1次航(試験飛行)から1937年6月のフランクフルト移送まで590回の航行を行ったことは記録されている。
ウェブページ「航空事業の開拓者(http://www.air-ship.info)」:「飛行船の時代(/LZ.html)」:「最も有名な航空機(/LZC.html)」には、そのうちの75航行を項目として取り上げているが、ヴォルフ氏の著書には55航行について、航行次数、発着地点・経過地点の通過時刻まで記録されており、その航行の指揮者や飛行船長など乗船していた主要人物、航空機や自動車など主要搭載物も記録されているのである。
同書では「LZ129:ヒンデンブルク」の10航行、「LZ130:グラーフ・ツェッペリンⅡ」の7航行についても同様の記載があり、飛行機乗りのエルンスト・ウーデットがフックオンしたのは1937年3月11日、ウォルムス近くのホフハイム上空の「ヒンデンブルク」の140番リングであったことが判る。
ここでは一例として「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」の第2次航について転載してみる。
第一次航(試験飛行)は1928年9月18日から19日にドイツ国内から北海に航行しているので、2次航はその翌日に実施されたことになる。
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1928年9月20日(第2次航)
「南西ドイツ航行」
エンジン:マイバッハVL2型、5基(426kW(580PS)、1600回転/分)
総排気量33.25Lの12気筒エンジン
燃料はガソリンあるいはガス燃料
ガス燃料の比重は空気と同じなので従来の飛行船のバラスト問題が解消され、航続距離(行動半径)が拡大された。
指揮者:エッケナー博士
同乗飛行船長:レーマン船長、フォン・シラー船長
行程
8時 1分:フリードリッヒスハーフェン離陸
8時40分:ヴィンターツール
8時50分:チューリヒ
9時45分:バーゼル
10時20分:フライブルク
11時20分
↓ バーデンバーデン上空で周回飛行
11時30分
12時15分:カールスルーヘ
12時28分:マンハイム・ウォルムス・オッペンハイム・ニアシュタイン
13時過ぎ :マインツ
13時20分:フランクフルトaM
13時45分:ダルムシュタット
14時00分:ヴァンハイム
14時10分:ハイデルベルク
14時30分:ジンスハイム
15時00分:シュトットガルト
17時29分:フリードリッヒスハーフェン着陸
この9月20日の航行におけるエンジンについては、9月21日のジンスハイム新聞に次のようなコメントが掲載された。
「エッケナー博士は、エンジンの性能と航行速度の実績について非常に満足している。
これまでの実績から彼が計算したところによると、現在の運航実績はおよそ1450回転で達成されたが、周知のようにこれは1600回転まで上げることが出来る。」
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