2010年04月22日
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世界周航の乗船記
「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」の世界周航は航空史上最大のイベントであった。
乗組員のほか、極地探検家のウィルキンス氏や、ハンブルク海洋気象台の気象学者ザイルコフ博士などを乗船させ、不時着時に備えて橇やカヤック、猟銃などまで積み込んだ人類史上初めての冒険飛行に、料金を設定しキャビン・食事付きで有料乗客を乗せるには大きな決心が必要であったことであろう。
そんな大飛行であるから、総責任者のエッケナー博士も、乗務員も、同乗したジャーナリストも乗船記を残している。
しかし、指令のエッケナー博士も、船長のフォン・シラーも、後に飛行船長となるザムト氏も、フリードリッヒスハーフェンから霞ヶ浦まで乗船した大阪毎日の圓地記者も、著書の1章、あるいは1節として記述しているのみで、その語数もそれほど多くない。
その点、フランクフルト新聞の特派員、ガイセンヘイナーは小冊子ながら写真を載せた乗船記を出している。
航行中は、キャビンの床の隙間から飛行船の外被が揺れていたなど船内の様子も詳しく、霞ヶ浦に下船したときの歓迎の様子が、天幕内のテーブルに並べられたビール、清酒、巻き寿司、つまみも貝の干物、魚の燻製、あられ、チョコレートシガーなど実に詳しい。
彼は日本上空に到達してからアメリカに向けて離陸するまでを10節にわたって描写している(ザムトは、この期間のことを数ページ記述しているが、エッケナーは数行の1文のみである)。
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