2010年04月07日

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飛行船と乗り物酔い

LZ127_HAPAG_1.jpg

DELAGの飛行船長であったフォン・シラーの著書によれば「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」は1928年9月の竣工から1937年6月に運航を止めるまでに世界周航のほか、北米往復2回、南米定期運航63往復など大洋渡航144回を含む590回の航行を行っている。

この間に乗務員、乗客に一人の犠牲者も出していない。これは驚嘆すべき運航実績である。低気圧に遭遇して大傾斜したことも、エンジンが次々と故障して不時着したこともあり、船内で打ち身や擦り傷はあったが人命に関わるような事故は起こさなかった。

同じように飛行船長を担当したザムトの著書によれば、飛行船による定期運航中に乗り物酔いになる人は皆無であったという。南米から汽船でドイツに帰国していた老婦人はサントスを出てハンブルクに入港するまで、ずっと船酔いで横になっていた。
最初に飛行船に乗ったときに南大西洋の孤島上空を航行しているときに操縦ゴンドラの近くに来て景観の美しさと穏やかさに歓声を上げ、その後毎年2回、飛行船でヨーロッパに行くことにしたという。

しかし、世界周航で同船に乗船した大阪朝日の北野特派員は乗船した日から頭痛がして気分が良くなかったと書いている。本人がエヤーシックネスらしく気分が優れずキャビンで寝ていたらしい。
(ガイセンヘイナーによると乗船当日から億万長者の遺産相続人リーズ氏の持ち込んだグラモフォンでチャールストンを踊っていたと言うから大したことはなかったのであろう)
航洋船舶は周期10秒前後の横揺れをするが、飛行船はこのようなローリングは殆どない。しかし、多少のピッチングは避けられず、最初に大西洋を渡ってアメリカに向かうときは朝食の用意の出来ていたテーブルから食器類が床に落ちて砕け、ポットやフライパンがデッキ上を走りドアにぶつかったという。

西洋人には日本人のなかにいるような極端に酒酔いに弱い人はいないらしいが、ひょっとしたら乗り物酔いにもそういう傾向でもあるのだろうか?


冬場の大西洋の時化は相当なものらしい。
総トン数5万トンのクルーズ船「クリスタル・シンフォニー」が竣工そうそう実際に乗客を乗せて航行したときに、ブリッジフロントの窓ガラスが波に叩かれて割れたと聞いたことがある。


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