2010年02月15日
戦後、アメリカの貨客船
プレジデント・クリーブランド
コンスティテューション
ここに挙げた2駒の写真は戦後アメリカの貨客船である。
別の海運会社で太平洋航路と、北大西洋経由地中海航路に就航していた船であるが、高い2本煙突など何となく共通のイメージがある。
アメリカン・プレジデント・ラインの「プレジデント・クリーブランド」には同じベツレヘム・スティール社のアラメダ造船所(カリフォルニア)で建造された姉妹船「プレジデント・ウィルソン」があり、アメリカン・エクスポート・ラインの「コンステテューション」には同じベツレヘム・スティール社のクインシー造船所(マサチューセッツ)で建造された姉妹船「インデペンデンス」とペアで運航された点も共通している。
実は、この2組は何れも米海事委員会が設計した兵員輸送艦であった。
米海軍は、第二次世界大戦で欧州へ兵員を輸送するための手段がなくイギリスの「クィーン・メリー」、「クィーン・エリザベス」に頼らざるを得なかった。
大西洋、太平洋の両面で戦線に兵員や糧食・弾薬を補給するために遅まきながら戦時標準型の輸送船を設計した。
アメリカン・プレジデント・ラインの2隻は終戦時建造中であったP2−SE2型の船体を利用して上部構造を客船に仕上げた。
総トン数は1万5千トン級である。
アメリカン・エクスポート・ラインの2隻は基本的に戦時標準船P3−S2型であったが、上部構造など外観は大幅に設計を改めた。
この設計を担当したのはヘンリー・ドレフュスと言われている。
総トン数は3万トン級であった。
何れも、必要な場合には兵員輸送船となることを条件に国家から補助金が出されている。
世界最高速の客船として有名なユナイテッド・ステーツ・ラインの「ユナイテッド・ステーツ」も高速兵員輸送船の平時状態として建造されたものである。
(同船はまだスクラップされることなく保管・繋留されている)。
アメリカは兵員輸送手段を整備していなかったことに余程懲りたらしく、ハワード・ヒューズの超大型木製飛行艇建造を認めたが、結局水上滑走試験中に僅かに浮き上がっただけで2度と飛行することはなかった。
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