2010年02月11日

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アクイラ航空のマデイラ便

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アマゾンに頼んでいた冊子が来た。
2002年に発行されたものを2010年に再版したものである。

マデイラ諸島は大西洋上のポルトガル領で、オーストリア皇妃エリザベートが転地で居住していたところでもある。

硬式飛行船「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」が南米定期航路に就航していたときには上空から郵嚢を投下していた。

アメリカではシコルスキーの長距離旅客用飛行艇「S42」が完成し、パンアメリカンがカリブ海・中南米向けの航路に運航始めていた頃、イギリスの飛行艇はショート社の「シンガポール」、「カルカッタ」など複葉機が飛んでいた。
その1934年にインペリアル航空は設計図と仕様書のみを頼りに全金属単葉4発飛行艇「S23」を28艇も一括発注した。

世界に広がっていたイギリス植民地に追加料金なしで郵便物を届けるというエンパイア・プロジェクトにちなんで「エンパイア」と命名されたこの飛行艇はカノパス、キャバリアなど "C"で始まる固有艇名から「Cクラスボート」と呼ばれていた。

サウザンプトンから海峡諸島のジャージー、ポルトガルのリスボン、地中海のマジョルカ、マルセイユ経由カプリなど各地に定期便が出発していた。

この本はマデイラ・ルートを運航していたアクイラ航空の飛行艇運航を記録した冊子である。

1949年の運航開始から1958年の運航停止までに運んだ乗客は6万7千人を超える。

運航された飛行艇は「S23:エンパイア」の改良型「S25:サンダーランド「ハイス」型13艇、民間型の「S25:サンドリンガムⅠ型」2艇、大型の旅客用「S45:ソレント」5艇の20艇に上る。

マデイラ側の発着地は首都フンシャールであったが、気象・海象によって臨時に使われていた海岸の写真も載っている。

チェコで印刷製本されイギリスで発行された新刊を906円で購入出来るとはありがたい話である。

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