2009年11月14日
未来の旅客用飛行船を考える(23) 乗客スペースの目安
現在運航されているジェット旅客機の座席はあまりにも狭い。
最も多いエコノミークラスの場合、前席との間隔は1メートル以下で、1人あたりの差席幅は1メートルの3分の2程度である。
クラインハインス教授も言っていたように、これでは「旅行というより輸送と言った方が近いのではないか」と思う。
1930年代の旅客用飛行船は航洋客船を念頭に置いて計画された。
未来の旅客用飛行船を考えるにあたって、ジェット旅客機のエコノミークラスやビジネスクラスの座席程度のスペースでは話にならない。
しかしながら飛行船に戦前の航洋客船の乗客用居住区のようにダイニングルームやバー、ラウンジ、喫煙室、ダンスフロア、プロムナードデッキを揃えるのは無理である。
では、どのくらいの空間を考えればよいかと検討していたら今年度のブイヤント航空懇談会の機関誌「ブイヤント航空」に関連する記事を見つけた。
同懇談会の幹事であるI氏とK氏の連名で「飛行船開発産業の創出」というレポートの中で「乗客1人当たりの平均専有面積は少なくとも現状の10人分以上は確保する必要があり」という記述がある。
その根拠については触れられていないが、これを第一近似として検討してみよう。
400人乗りジャンボジェット機の座席の寸法を前後0.8メートル、幅0.67メートルとすれば、1人あたり専有面積は0.54平方メートルであり、その10倍は5.4平方メートルとなる。
この数値だけで感覚的に捉えることは難しいので、クルーズ船と比較してみる。
クルーズ船のキャビンは標準的にツインルームで、その面積は十数平方メートルから数十平方メートルであるが、グレードによって10平方メートル以下のものもある。
1人あたり5.4平方メートルであればツインで11平方メートルとなる。
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何もないところから検討を始めるには妥当な目安ではないかと思う。
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