2009年10月30日
未来の旅客用飛行船を考える(13) 事例分析(4:「シュヴァーベン」)
ここで、初期のツェッペリン飛行船を少し振り返って見る。
「LZ1」は当然試作船であるが、のちの研究家によって建造された飛行船の a型と呼ばれている。
「LZ2」は最初で一度きりの飛行で漂流し解体されたが、1年後にエンジンその他を流用して「LZ3」が建造された。この2隻は b型に分類されている。
「LZ3」はその後船体を延長された後、陸軍に納入されたが これも試作船の域を出ていない。
エヒターディンゲンで炎上した「LZ4」と、陸軍に納入され「ZⅡ」となった「LZ5」は c型と呼ばれている。
「LZ6」には同型船がなく d型として扱われる。
そして「LZ7:ドイチュラント」と「LZ8:ドイチュラント(Ⅱ)」は e型に分類される。
「LZ9」、「LZ10」、「LZ12」は f型と分類されるが、「LZ9」と「LZ12」は陸軍に採用され、それぞれ「ZⅡ代船」、「ZⅢ」と呼ばれた。
「LZ10」はDELAGが「シュヴァーベン」と命名して運航した。
「LZ9:ZⅡ代船」はバーデン・オース、ケルン、メッツ、ゴータで、「LZ12(ZⅢ)」はフリードリッヒスハーフェンなどで運用されたが、ともに1914年8月1日に役目を終えて解体されてた。
「LZ10:シュヴァーベン」は1911年6月26日に初飛行し、デュッセルドルフやベルリンのヨハニスタール、ポツダム、フランクフルトAMなどで、200回以上の飛行を実施し1500人を超す乗客を乗せて飛んでいる。
後にノーベル文学賞を受賞したヘルマン・ヘッセも招待されて乗船している。
1911年7月13日にフリードリッヒスハーフェンで遊覧飛行を楽しんだ模様を「素晴らしい空中散歩」という短編に描いている。
同船にはハインリヒ・クービスが世界最初のエアライン・スチュワードとして乗務していた。
当時のメニューには、最上級ベルーガキャビア(4マルク)、フォアグラのパイ包み(3マルク)、フランス風肥育鶏(3マルク)、ピーチメルバ(3マルク)などのほか、独仏のワインが数種類(4〜17マルク)、クルボアジェコニャックなどが用意されていたので飛行時間は2時間程度であった。
資料によると、初飛行から、ほぼ1年のあいだに218回の飛行で479時間半、距離にして27321キロメートルを飛び、その間の乗船者総数4354人中1553人が有料の乗客であった。
大手海運会社、ハンブルク・アメリカ・ライン(HAPAG)が代理店となって大々的に宣伝され、有名なポスターも多く残されており、DELAGが世間一般に知られるようになった。
しかし、その活動期間は短く1912年6月28日にデュッセルドルフで着陸時に炎上してしまった。
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