2009年05月29日
見落としていた重要なレポート
ツェッペリンを中心とするドイツ硬式飛行船の文献については独語、英語の原典を可能な範囲で調査している。
それらの文献ではDELAG創世期の各船の要目や運航実績、大戦中の軍用飛行船に関してはかなり詳しくレポートされている。
また、第一次大戦の戦時賠償として建造されアメリカに納入された「LZ126:ZRⅢ」や、有名な「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」、「LZ129:ヒンデンブルク」、「LZ130:グラーフ・ツェッペリン(Ⅱ)」の各船に関しても詳細に記述されている。
しかしながら、終戦となった1919年から1924年頃までの事項についての資料は殆どない。稀に見つかることがあっても非常に曖昧な記述や、明らかに間違っているものが見受けられる。
そのなかに重要な資料がある。ドイツの著名な飛行船研究家であったペーター・クラインハインス教授が亡くなる2年前に、フリードリッヒスハーフェンのツェッペリン博物館から出版された「LZ120:ボーデンゼー」と「LZ121:ノルトシュテルン」である。
実は、昨年秋に偶然に見つけて入手したのであるが「飛行船四方山話」と題して硬式飛行船に関する常識プラスアルファを150件連載していたのを見直して小冊子の原稿をつくったりして、精読を棚上げしていたのである。
ところが、70歳近いクラインハインスはチューリヒやローマにまで出掛け、伊語の原典をあたって終戦の1919年から「LZ126:ZRⅢ」の引き渡しまで、着手後建造中止になった各船の仕様や経緯を貴重な写真や図面で残しておいてくれたのである。
「LZ115」が「L100(6発)」であり、「LZ116」から「LZ118」までは海軍飛行船「L73」〜「L75」として建造されつつあり、「LZ119」が「L100(10発)」であったことも、伝説の「LZ125」が12発の高速郵便船であったことも判明した。
特にその完成予想図は貴重なものである。
客船、飛行船、飛行艇が華やかに競合していた大戦間の時期の「ボエージ」に関する執筆をスローダウンさせてでも1頁、1頁精読しようと思っている。
見出しは同書から「LZ125:アメリカ船」の側面図と乗客用ラウンジの完成予想図である。
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