2009年04月03日
飛行船四方山話(146): LZ1の改造
世界で初めて飛翔した飛行船「LZ1」・・。
[区分] 一般・歴史
[難易度]上級
[問題]
ツェッペリン伯爵が座乗した「LZ1」は最初の飛行で約18分間飛んでいます。
この飛行で不具合が見つかったので改造を施し、3ヶ月後に2度目の飛行で約80分間滞空しました。
主な改造点は次のうちのどれでしょうか?
1. エンジンを大馬力に換装した
2. 揚力を増やすため延長してガス嚢を増設した
3. 着陸装置を増設した
4. 姿勢制御用重錘を外し、船尾に昇降舵を付けた
[答] 4
[解説]
初めて設計された飛行船「LZ1」には船尾上下に小さな方向舵(Seitenruder)があるだけで昇降舵は付いていませんでした。
その代わりに長いワイヤの先に移動錘(Laufgewicht)を下げ、これを前後のウィンチで巻き取って前後の姿勢を制御しようとしたのです。
ところが1900年7月2日の夕刻、伯爵を含む5名が乗船し初めて浮揚して実際にやってみるとうまく作動しませんでした。
うまく行かないことが判ったので、その日は18分程度で降下させています。
それでこの方式を諦めて、下図に示すような小さな昇降舵(Hhenruder)を設けました。
改造後の10月17日に2度目の浮揚を行い、約80分間空中に浮かんでいました。
風のない穏やかな日和であったそうですが、あまりにもエンジン出力が少なく方向舵も昇降舵も申し訳程度の貧弱なものであったため操船どころではなく浮かんでいるのが精一杯の状態だったと思います。
推測ですが、僅かでもトリムが生じれば17個のガス嚢のうち特定のセルから浮揚ガスを放出したのではないかと思います。
フランクフルター・ツァイトゥンクの通信員としてエッケナー博士が初めて飛行船を見たのはこの日でした。
21日に20分あまりにわたる第3回飛行のあと解体され、会社も清算されて第1ラウンドが終了しています。
このあとも伯爵は尾翼の扱いに悩み様々な飛行船を作りました。
十字尾翼を採用したのは船舶工学の権威シュッテ教授のシュッテ・ランツ式が先で、ツェッペリンの飛行船では「LZ25」で初めて採用されました。
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