2009年03月30日

*** 当ブログは2014年5月末に引っ越しました…新しい「紺碧の海」はこちらです ***

飛行船四方山話(142): 洋上で客船と遭遇した飛行船

ZWAlbum2part.jpg

大西洋上でしばしば客船と遭遇した・・。

[区分] 運航・船舶
[難易度]初級

[問題]
ヨーロッパとアメリカの間で定期運航していたツェッペリン飛行船は、しばしば客船と遭遇しました。そのとき、客船の船長は乗客達のために「もっと近づいてくれ」などと要請していました。そのときの通信手段は何だったのでしょうか?

 1. 信号灯
 2. 手旗信号
 3. 無線電信
 4. 無線電話

[答] 3

[解説]
洋上で互いに視認出来る場合に船舶同士は信号灯を用います。
輻輳した水域で無線通信を発信すれば緊急無線通信を妨害する可能性もあり、艦艇などの場合は敵方に情報が漏洩するのを防ぐためです。
しかし、飛行船に手持ちの信号灯を備えていたという記述は見たことがありません。
おそらくそのような状況が想定されていなかったものと思われます。

手旗信号もよく使われる簡易通信です。
イギリスでは世界にまたがる植民地との交通運輸のために飛行艇を運航していましたが、ショート・エンパイアなど飛行艇の乗組員は船舶で用いられる手旗信号を修得していました。
しかし、手旗では文節ごとに確認応答が必要になります
飛行船では水上船舶からの手旗が読めたとしても「了解」「認識不可」「乞再送」などの返信が出来ないので交信は無理でした。

洋上船舶や飛行船では気象データを受信するために長波・短波の無線機を持っており、水上船舶と時刻や位置、互いの気象情報を交換していたのでこれで交信していました。

無線電話はどの船も必ず装備しているかどうか判りませんでした。

当時、船で大西洋を横断するには早い船でも4日以上掛かっていたので乗客を喜ばせようと飛行船が近くにいることを知っていた船長は、高度や進路まで注文することがあったそうです。


Comment on "飛行船四方山話(142): 洋上で客船と遭遇した飛行船"

"飛行船四方山話(142): 洋上で客船と遭遇した飛行船"へのコメントはまだありません。