2009年03月15日

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飛行船四方山話(127): LZ127は旅客用飛行船か

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9年に近い運航実績をもつ「グラーフ・ツェッペリン」・・。

[区分] 運航・実績
[難易度]初級

[問題]
1928年の伯爵生誕90周年に命名され9月に初飛行を行って以来、1937年初夏まで運航された「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」は本格的旅客用飛行船のように言われていますが、同船は次のうちどれに該当するのでしょうか?

 1. 旅客運送用飛行船
 2. 旅客兼郵便飛行船
 3. 広報兼運航評価用試作飛行船
 4. 高速航空貨物用飛行船

[答] 3

[解説]
「LZ127」は定期客船のように、旅客を乗せて大西洋横断飛行を運航できるかを評価する実用実験船でした。
そのためにも南北大西洋をはじめ、世界各地の気象データを調査観測する必要がありました。
洋上を長距離航走する航法も初めて経験するものでした。
完成するとすぐ北大西洋を往復横断しましたが、この往航で低気圧に遭い左舷水平尾翼下面が破れ昇降舵に絡む緊急事態になりました。
レークハーストでその補修に2週間を要しています。
翌年、まだ寒いうちに飛行船の旅行が快適で安全であることを知って貰うために政府の要人を招待して第1回オリエント飛行を行い、ローマ・ギリシャ・エルサレム・死海などを空から訪問しています。
その後5月に再度訪米飛行に飛び立ちましたが、地中海に出たところで5基のエンジンのうち4基まで故障してフランスに不時着しています。
その補修を終えて最初の大飛行が世界一周飛行でした。
北極探検飛行も極地の気象観測と試験飛行が目的でした。
その費用を北極海に待機させた砕氷船マリギンとの郵便交換で賄ったのはさすがだと思います。
「グラーフ・ツェッペリン」は60回以上も南米旅客飛行を行っていますが、南米航路も気象観測や中継基地の設営まで行い、実質的運航は「LZ129:ヒンデンブルク」、「LZ130:グラーフ・ツェッペリンⅡ」で行う計画でした。
これらの経緯についてはエッケナー博士やザムト船長などの著書に述べられています。


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