2009年02月23日

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飛行船四方山話(110): 飛行中の尾翼補修に志願した人たち

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眼の下には荒れ狂う北大西洋の荒波が・・。

[区分] 一般・人物
[難易度]中級

[問題]
「グラーフ・ツェッペリン」が初めて大西洋を横断しているときに、尾翼の外被が裂けて危険な状態になりました。このときに緊急対策補修員を募りましたが、飛行技師のボイエルレ、舵手のラドヴィックとザムト、ガス嚢主任のクノールとともに応募したのは誰でしょうか?

 1. グレッチンガー(操機長)
 2. クヌート・エッケナー(特任)
 3. ヴィッテマン(航海士)
 4. フォン・シラー(当直士官)

[答] 2

「LZ127」は、伯爵の生誕90年記念日の1928年7月8日に一人娘のブランデンシュタイン・ツェッペリン伯爵夫人ヘラによって「グラーフ・ツェッペリン」と命名されました。
9月18日に進空し、エンジンの36時間耐久試験を終えて3週間後の10月11日に最初の訪米飛行に出発しました。
マデイラも過ぎ、13日の朝食準備の出来たテーブルをひっくり返す大傾斜が生じています。大西洋上で低気圧に遭遇したのです。
点検してきた操機長のグレッチンガーが左舷水平尾翼の下面外被が破れ、昇降舵に掛かっていると報告しました。
放置すれば大事故になるので、米海軍に高速艦艇の派遣を要請する一方で補修班を募りました。まかり間違えば生命にかかわる作業なので指名することは出来ません。
志願したのは、エッケナー博士の子息で特命で乗務していたクヌート・エッケナー、飛行技師のボイエルレ、舵手のラドヴィックとザムト、それにガス嚢主任のクノールでした。荒れた洋上でエンジンを停止すれば高度が維持できないので微速で前進しながら1時間半で昇降舵に絡むおそれのある端切れを切り落とし、3〜4時間で応急対策をして飛行を続けました。
レークハーストに着陸して、補修に2週間も要しました。

クヌート・エッケナーはフーゴー・エッケナー博士の子息で、1929年の世界周航にも乗務しています。
父親譲りの操縦センスがあったようで昇降舵手もこなしています。
のちに彼はツェッペリン飛行船製造社で飛行船の製造・組立・艤装それに外注品の検収など、エンジン以外のすべてについて直接責任を負うことになります。


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