2009年02月21日

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飛行船四方山話(108): 40番リング、60番リングの「リング」とは?

LZ129uc1.jpg

飛行船でいうリングとは・・。

[区分] 基本設計・一般配置
[難易度]中級

[問題]
ザムト船長など乗務を経験した人の著書の中で「40番リングのバラスト水を60番リングに1トン移す」など、リングという名詞が出てきますが、これは何を指すものでしょうか?

 1. 船体を構成しているフレームに付けられた一貫番号
 2. 船尾の基準点から船体長さ方向の位置を示す呼称
 3. ガス嚢の排気弁に取り付けられた円環
 4. 自動排気弁からのダクトが船体頂部に接続されたリング

LZ129_Adk_plan.jpg

[答] 2

[解説]
硬式飛行船の船体座標系は、水上船舶の場合に似ています。
船体長さ方向の位置の基準になる点は船体中心線上船尾部に設けられ、これを後部垂線と言います。
船体の断面を形成するフレームは後部垂線から前方に等間隔に配置されていました(イギリスの官営飛行船工場で建造された「R101」は、ガス嚢の容量を揃えるために例外的に不等間隔)。
ドイツはメートル制ですから「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」の場合、垂線から10m、20m、35m、50m、65m、80m、95m、110m、125m、140m、155m、170m、185m、195m、207.5mの位置にメインフレームが配置され、10番リング、20番リングなどと呼んでいました。

「LZ129、LZ130」の場合は20m、33.5m、47m、62m、77m、92m、107m、123.5m、140m、156.5m、173m、188m、203m、218m、233mで先端が244.5mです。
バラストタンクや排気ダクトは幾つもあるので、40番リング、60番リングなどと呼んで特定していました。

ちなみに「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」の指令兼乗客用ゴンドラの後端は170番リングで操舵室は195番リングの前方に張り出していました。
「LZ129:ヒンデンブルク」と「LZ130:グラーフ・ツェッペリンⅡ」の乗客用居住区は173番リングと188番リングの間にAデッキ、Bデッキと呼ぶ2層のデッキを設けています。「ヒンデンブルク」ではAデッキに乗客用ツインキャビン、ラウンジ、ダイニング、ライティングルームそれの両舷にプロムナードデッキを設け、Bデッキにはトイレ、シャワールーム、バー、喫煙室、部員用食堂、士官用食堂、厨房などが設けられていました。
「グラーフ・ツェッペリンⅡ」の居住区はヘリウムで運航することを前提に大幅に変更されています。

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