2009年02月16日

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飛行船四方山話(103): カール・アルンシュタインの専門分野

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12人の弟子を連れて新大陸に渡った・・。

[区分] 一般・人物
[難易度]中級

[問題]
グッドイヤー・ツェッペリン社で「ZRS4:アクロン」、「ZRS5:メーコン」の主任設計者であったカール・アルンシュタインの専門分野は次のどれでしょう?

 1. 建設工学
 2. 造船工学
 3. 航空工学
 4. 機械工学

[答] 1

[解説]
フリードリッヒスハーフェンのツェッペリン飛行船製造社とグッドイヤー・タイヤ・ゴム社が合弁でグッドイヤー・ツェッペリン社を設立したときに、12人の技術者とともに客船「ジョージ・ワシントン」に乗って渡米したカール・アルンシュタイン博士は、もともと土木建築技師でした。
カール・アルンシュタインは1847年4月14日にボヘミアの田舎で生まれました。
姉と弟が居ました。
小さい頃から数学が得意であったようですが、彼はエッチングなど芸術分野に進みたかったと述懐しています。
中欧で最も伝統のあるプラハ大学に入り、そこで構造解析を研究しています。
ストラスブール教会の聖堂やスイスの渓谷に掛かる橋梁など建築や橋梁の強度解析に実績を残しています。
第一次大戦後、ツェッペリン飛行船製造社で飛行船の構造解析に従事しました。
グッドイヤー・ツェッペリン社では、米海軍向けの大型飛行船「ZRS4:アクロン」、「ZRS5:メーコン」の姉妹船の設計をとりまとめました。
8基のエンジンを船内に配置して回転軸でプロペラに動力を伝達する方式や、そのプロペラのチルト方式を採用し、船内に小型戦闘機の格納庫を設けるなど幾つかの新機構を採用しています。

ちなみに、ドイツ・ツェッペリン社の主任設計者ルートヴィヒ・デューア博士は機械系で、ライバルであるシュッテ・ランツ社のヨハン・シュッテ博士は造船設計畑の出身です。
このように当時は航空機も船舶も、必要とあれば構造材料試験を行ったり、試験水槽や風洞で実験したり、重要な個所は自分で現場に出て溶接したり、その設計者の出身や専門にこだわらずに研究開発を行っていたものです。

現在は、船舶も航空機も抵抗・推進、構造強度、艤装、工作などに細分化されすぎて、その設計者自身のしっかりしたデザイン・フィロソフィーとかデザイン・ポリシーを持ち合わせないのではないかと感じることもあります。


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