2009年02月08日

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飛行船四方山話(95): ドイツ以外の硬式飛行船(10)

R80_1.jpg

イギリスの硬式飛行船(9)

[区分] 一般・歴史
[難易度]中級

[問題]
R80は金属フレームで構成された飛行船のうち「LZ120:ボーデンゼー」に次いで世界で2番目に流線型船体をした飛行船でした。
この飛行船の主任設計者は誰でしょう?

 1. バーネス・ウォリス
 2. CIR キャンベル
 3. ルートヴィヒ・デューア
 4. ヨハン・シュッテ

[答] 1

[解説]
ヴィッカース社のワルネー島にある格納庫で建造されたR80の主任設計者はバーネス・ウォリスです。
彼はヴィッカース社の設計技術者として、ヨハン・シュッテ教授が開発し飛行船SL1に適用した大圏構造を爆撃機ウェリントンに採用したり、ルール地方のダムを爆破するためのスキップ爆弾を開発したりと、高い独創性を持った技術者でした。

ヴィッカースの技術陣は空軍飛行船設計部とは何の関係もなく独自に硬式飛行船の設計を行おうとしていました。
当然、ドイツ初期の飛行船は参考にしていますが、ツェッペリンが初めて流線型船体の「LZ120:ボーデンゼー」の設計を行う以前に、R80に独自の考案で流線型船体を採り入れています。
R80は1917年11月に発注されたのですが、休戦により工事が中断されたため、完成した時点では平行部のない流線型飛行船の第2番船となっています。
姉妹船R81も予算化されたのですが休戦のため発注に至っていません。
原動機は245馬力のマイバッハMbⅣaエンジンが4基装備されていました。
R80は1920年7月19日に初飛行しています。
このとき構造上の欠陥が露呈し、修理・改造が終わってからは、主にR38を引取に来たアメリカ海軍の乗組員の訓練に使用されています。
写真ではよく判りませんが、主船体だけでなく指令ゴンドラの先端部もハインケルHe111のように紡錘形の窓になっていました。
R80は1921年9月に最終飛行を終え、1925年に解体されていますが、ウォリス博士はこれを経験に後年、エアシップ・ギャランティ社の大型航洋飛行船R100を設計しています。

ちなみにデューアはLZ2以降全てのツェッペリン飛行船を設計した主任設計者であり、キャンベルはイギリス空軍飛行船設計部長でした。


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