2008年12月10日
飛行船四方山話(35): 硬式飛行船の傾斜角
人の乗った飛行船はどのくらい傾くのか・・
[区分] 一般・傾斜実績
[級] 中級
[問題]
硬式飛行船が傾斜した角度はどの程度だったのでしょうか?
1. 30度
2. 44度
3. 60度
4. 85度
[答] 4
[解説]
水上船舶は水と空気という密度の大きく異なる流体の境界面に浮いているので長さ方向の傾斜は僅かなものです。
しかし、基本設計に欠陥があったり、積荷の荷崩れが起きたり、片舷の外板やタンクの損傷があると横転することがあります。
飛行船は全体として空気中に浮かんでいるので重心位置が浮心と鉛直上下にない場合は簡単に大きな傾斜を生じます。
突風に吹き上げられたり局部的に気温の違うところではすぐに傾斜します。
飛行船の昇降舵手は、それを察知して事前に押さえ込む操舵をする能力が必要であるとされていた所以です。
ただ、大型飛行船では重心が浮心より下にあるので横の傾斜は殆どありません。
写真や記録の残っている大傾斜としては「ZRⅢ(LZ126:ロサンゼルス)」がレークハーストでハイマストに繋留中の1928年8月25日の午後、85度という大傾斜を生じました。殆ど垂直になった写真が残っています。
このとき乗っていた当直の乗組員は吃驚したことでしょう。
「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」は、最初のアメリカ行きで朝食の用意が整ったテーブルから皿やカップが散乱する傾斜を起こしましたが、その時の傾斜は15度程度であったと言われています。またた南米定期便に従事していたとき、スペイン南岸に近いシェラネヴァダで44度の傾斜を生じており、記録に残っている大傾斜は49度です。
戦後建造されたツェッペリンNT7型準硬式飛行船が南アフリカでダイアモンド探査に当たっていた2007年9月20日に繋留中に竜巻に襲われ、現地の地上要員が怪我をして飛行船は全損になっています。
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