2008年12月08日

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飛行船四方山話(33):ブラウガス

Zeichnung1.jpg

ブラウガスとは「青いガス」なのか?

[区分] 基本設計・性能
[級]  初級

[問題]
「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」では航続時間を延ばすために『ブラウガス』が採用されました。この『ブラウガス』とは何でしょうか?

 1.微かに青い色のついた浮揚ガス
 2.青い色のガス燃料
 3.ヘルマン・ブラウ博士の開発した石油気化ガス
 4.LPG

[答] 3

[解説]
ヘルマン・ブラウ博士の開発した石油気化ガスで、メタン、エタン、エチレン、ブチレン、プロピレン、水素などを混合した燃料ガスです。
ブラウ博士の名前からブラウガスと呼ばれていました。
「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」にはマイバッハVLⅡ型12気筒エンジンが5基装備されていましたが、燃料にガソリンのほかブラウガスを使うことも出来ました。
ガソリンを消費すると飛行船がそれだけ軽くなり、それを補うために浮揚ガスの水素を放出する必要があるので、主船体の中央部は上部60〜70%に浮揚ガスである水素のガス嚢(セル)を、下部に燃料ガスとしてブラウガスのガス嚢を入れていました。
元々のブラウガスは空気よりやや重いのですが、ツェッペリンでは水素を調合して比重をほぼ空気と同じにしていました。こうすることによってブラウガスを消費して空気が補填されても飛行船の重量が変わらないようにしていました。
ドイツ語でブラウとは青のことですが、このためよく誤解されていたようです。
小学館発行の「航空機 −両大戦の間−」(万有ガイド・シリーズ3:昭和56年発行)は木村秀政監修となっているカラー挿絵のハードカバーですがLZ127の解説記事の中に丁寧に2個所も「青いガスとよばれる気体状の燃料」「飛行船の容積の3分の1には青いガスが、そして残りの部分には水素が満たされていた」と掲載されています。
世界一周飛行の際、霞ヶ浦にブラウガスを用意出来なかったので、アメリカ海軍経由カーバイト・アンド・カーボン・ケミカルズ(のちのユニオン・カーバイト社)からパイロファックスという商品名のプロパンガスを200ポンド容器で765本輸入しています。
これを水素と混合して比重を調整し充填しています。

答の4.LPGは液化石油ガスの略称で、ツェッペリン飛行船では圧縮も液化もしていないので間違いとなります。

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イラストはLZ127の中央横断面で、上部の Traggaszelle が浮揚ガス嚢、Kraftgaszelle が燃料ガス嚢

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