2008年12月05日
飛行船四方山話(30): グラーフ・ツェッペリンの正餐
グラーフ・ツェッペリン世界周航の昼餐メニュー
[区分] 船内サービス・メニュー
[級] 中級
[問題]
LZ127:グラーフ・ツェッペリンのメニューは航洋定期客船のようで好評でした。
1929年の世界周航の際、8月19日の夕刻霞ヶ浦に着陸して23日の午後ロサンゼルスに向け出発しました。
翌日の昼食には帝国ホテルで調整した料理がサービスされましたが、このメイン料理は何だったのでしょう?
1.鮭、鹿肉の蒸煮と野菜
2.海亀のスープ、アスパラガス添えハム、サラダ付きローストビーフ
3.ツェッペリン風カレー
4.すき焼き
[答] 4
[解説]
ドイツの食事では夕食ではなく昼食がディナーになります。
日本に6日間滞在して、霞月楼などで会席膳などを食べていた乗客・乗員は肉料理が恋しくなった頃だったと思います。
帝国ホテルでは剣持シェフがすき焼きを調整し、船上の電熱器で暖めるだけで良いように缶詰にして積み込まれたそうで、私は見ていませんがその厨房の様子を撮影した写真も残されているようです。
LZ127は8月22日の早朝にアメリカに向けて出発する予定だったのですが、飛行船を格納庫から引き出すために載っていた台車が脱輪し、後部エンジンゴンドラの支柱を破損し、その修理が終わり、来襲した低気圧をやり過ごして23日の15時過ぎに出発しました。
おそらく、すき焼きは翌4日の昼に出されたものと思われます。
調理済みで暖めてサービスされたので缶詰の大和煮のようなものだったのではないかと言われています。
鹿肉の蒸煮は、フリードリッヒスハーフェンを出発した最初の昼食で提供されたと言われています。
海亀のスープやローストビーフは、エッケナー博士の著書によればその年の3月に行われた最初のオリエント飛行でイタリア半島先端のメッシナ海峡を過ぎてイオニア海に入ったあたりで「蝋燭の友情の炎」を囲んだ夕食にサービスされたとされています。
ツェッペリンカレーは格納庫のあった土浦の商工会議所が作ったレトルトカレーのようです。
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写真はツェッペリン研究家でもある すき焼「今朝」の藤森様のツェッペリン・コレクションの一つである すき焼の載ったメニューです。
背景に富士山、近景に帝国ホテルが描かれています。
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