2008年12月03日
飛行船四方山話(28):バラストタンクの形状
船内艤装の話。
[区分] 艤装設計・タンク類
[級] 中級
[問題]
飛行船には原動機用燃料のほか、バラスト水を搭載する必要がありました。
バラスト水はどんな容器に入れていたのでしょう?
1.通常の方形タンク
2.袋あるいは円筒形タンク
3.水管
4.広く浅い容器
[答] 2
[解説]
気球では、緊急に浮揚する場合に投棄するために砂袋を載せていましたが、飛行船は大きいのでバラストウォーターを搭載していました。
普通に地上で使うような、幅と奥行きのあるタンクでは満載あるいは空槽以外の状態では、液の表面に自由に移動できる液面を生じます。
このため、水上船舶や飛行船に載せておいた場合、設置されている船体が傾くと液体は低い方に流れて液体の重心が低い方に移動します。
このためさらに傾斜を増大させることになり、急速に傾斜が加速します。
これを自由表面の影響といいます。
水上船舶の場合、船体の復元力が大きいのでこの自由表面の影響は無視することが出来ますが、飛行船ではどんどん傾斜が大きくなって転覆するおそれがあります。
このため、飛行船のバラスト水は自由水面が小さくなるように垂直に取り付けた円筒形タンクや、防水キャンバスで出来たバラスト袋に入れられていました。
キャンバス製のバラスト袋はバラストホーゼとも呼ばれていました。
ホーゼとはドイツ語でズボンのことです。
通常の方形タンクや広く浅いタンクでは危険なので用いられませんでした。
水管ボイラーのように長い配管に収容すると自由水面の影響は回避できますが、容量が限定されることと、緊急の場合瞬時にバラストを投棄することができないので良い方法とは言えません。
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写真は「LZ120:ボーデンゼー」のバラストホーゼ
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