2008年12月04日

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飛行船四方山話(29):ヒンデンブルクのエンジン

LZ129.jpg

今回はエンジンの話。

[区分] 基本設計・原動機
[級]  中級

[問題]
「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」にはマイバッハVLⅡエンジン(12気筒、530馬力)が5基装備されており、燃料にはガソリン、ブラウガスのいずれでも使用できました。「LZ129:ヒンデンブルク」とその姉妹船「LZ130:グラーフ・ツェッペリン(Ⅱ)」のエンジンの種類は何でしょうか?

 1.電動機
 2.ガソリンエンジン
 3.ディーゼルエンジン
 4.蒸気機関

[答] 3

[解説]
LZ129は、浮揚ガスに不燃性のヘリウムを使用する飛行船として設計されました。
そして原動機にはダイムラー製のディーゼルエンジンが4基搭載されました。安全性のためにガソリンより燃焼しにくいディーゼルオイルを使うことにしたのです。
LZ127は長距離飛行を可能にするため燃料を大量に消費しても飛行船の重量が殆ど変わらないように、空気と同じ比重のブラウガスを燃料に用いましたが、ディーゼルではそれが出来ないので、エンジン排気を冷却し水蒸気を滴下してバラスト水として飛行船の重量の変化を抑えました。
浮揚ガスとして水素の7倍以上高価なヘリウムを使うことにしたのですが、ヘリウムの使用量を限定するために、ガス嚢(セル)を2重にして、外にヘリウム、内側に水素を充填するように計画されました。
しかし、当時唯一のヘリウム生産国アメリカが輸出を禁止したため水素飛行船として運航されました。
ヘリウムと水素の浮力差を調整するためにブリュートナーのピアノが搭載されたことはよく知られています。

19世紀の初期の飛行船では「ラ・フランス」のようにバッテリーを搭載して電動機で駆動するものも試みられましたが、ジファールが最初の飛行船で用いた蒸気機関と同様、出力あたりのエンジン重量が重すぎて実用にはなりませんでした。

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