2008年11月30日
飛行船四方山話(25):硬式飛行船とは?
四方山話も25回になったので、改めて再確認してみよう
[区分] 一般・基本
[級] 初級
[問題]
硬式飛行船はバーセヴァルの軟式飛行船やウンベルト・ノビレの開発した半硬式飛行船(キール飛行船)などと根本的に違います。次のうち硬式飛行船特有の条件でなく、飛行船・自由気球一般に当てはまるのはどれでしょうか?
1.水素あるいはヘリウムのような浮揚ガスを使用していること
2.浮揚ガスが相互に独立した複数のガス嚢(セル)に充填されていること
3.浮揚ガスの充填状態如何にかかわらず外形が維持されていること
4.外殻が軽金属などのフレームで構成され、それを外被で覆っていること
[答] 1
[解説]
硬式飛行船の本体部分は、軽金属あるいは木骨の外殻を塗装した布などの外被で構成されていました。
そのなかに浮揚ガスを充填した複数のガス嚢(セル)があり、個別にガス放出用のバルブや船外に導出するダクトが設置されています。
ツェッペリン伯爵の最初の硬式飛行船「LZ1」の前に、ダヴィッド・シュヴァルツがアルミニューム合金で飛行船を作りました。内部を13の区画に分け、ガス圧調整弁はつけていたようですがガスセルはなく気密性に乏しいものでした。シュヴァルツ死去後の1897年11月に試験飛行で離陸はしたものの推進器が故障して不時着しています。
硬式飛行船では、前後のガスセルの浮揚ガスを放出したり、バラスト水を船内移送させたり投棄するなどして前後の傾斜を調整することが出来ますが、軟式飛行船ではガスセルが分離していないので、前後にバロネットという空気袋を設置し、これに空気を移送することで浮力を調整し前後の傾斜を制御します。
ノビレの設計した半硬式飛行船は軟式飛行船のキール(竜骨)部分とゴンドラ部分を軽金属で作ったもので基本的には軟式飛行船と同じです。
現在、ツェッペリン飛行船技術社で製作されているツェッペリンNTシリーズはガスセルの内側にカーボンファイバー製フレームを設置して、これにエンジンなどを取り付けています。
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写真はLZ126:ZRⅢ(賠償飛行船、ロサンゼルス)のガス嚢に浮揚ガスを充填しているところ
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