2008年11月16日
飛行船四方山話(11):硬式飛行船を建造した国
引き続き初級問題・・・。
[区分] 一般・歴史
[級] 初級
[問題]
ドイツの硬式飛行船はよく知られていますが、その他の国でも硬式飛行船を保有し運営した国は幾つかありました。次のなかで自国で硬式飛行船を建造し完成させたことのない国は何処でしょうか?
1.アメリカ 2.イギリス 3.フランス 4.イタリア
[答] 4
[解説]
アメリカは第一次大戦後、軟式飛行船で経験のあるグッドイヤー社とドイツのツェッペリン飛行船製造社と合弁で、グッドイヤー・ツェッペリン社を設立して、米海軍から受注して「ZRS4:アクロン」、同型船「ZRS5:メーコン」を納入しています。
イギリスはアームストロング社とビードモア社で「R33」「R34」を建造し、「R34]は1919年にドイツに先駆けて北大西洋往復飛行を達成しました。のちに国営工場と民間企業で大型旅客用飛行船「R100」、「R101」を競合させて完成させましたが「R101」はエジプトに向けて飛び立ち、フランスで墜落炎上しました。
フランスは、1913年にゾディアック社が骨格に木材を使用した硬式飛行船「スピース」を建造しましたが、翌年解体され、その後は建造していません。
イタリアはウンベルト・ノビレの設計した半硬式飛行船(キール飛行船)を建造しましたが硬式飛行船は建造していません。
ここに挙げた各国は、第一次大戦後ドイツから賠償で飛行船を受領して運用した実績はあります。
日本も日英同盟から連合軍側で参戦しており、ユッターボックに建設されていた格納庫と、海軍飛行船「L37」(ツェッペリン建造番号LZ75)が戦時賠償として解体移送されました。
格納庫は横須賀にあった海軍航空船隊が霞ヶ浦に移転(1923年12月1日)するときに霞ヶ浦に再建されて12年12月に工事が終わり、12月22日に航空船隊の移転は完了しました。
この格納庫が「グラーフ・ツェッペリン」の世界周航の際に用いられたことはよく知られています。
しかし、飛行船の方は再組立されることはありませんでした。
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見出しの写真は英国カーディントンの繋留塔に繋留される「R101」。
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