2008年11月15日
飛行船四方山話(10):最も短いツェッペリン飛行船
初級の問題を続けます
[区分] 一般:要目
[級] 初級
[問題]
ツェッペリン飛行船製造社は、運航会社のDELAG(のちにDZR)やドイツ陸軍、ドイツ海軍、合衆国海軍のために多くの飛行船を建造していますが、全長が一番短いのは次の4つのうち、どの飛行船だったでしょうか?
1. LZ1(ツェッペリン硬式飛行船第一号)
2. LZ4(エヒターディンゲンに不時着炎上した飛行船)
3. LZ10(DELAG船シュヴァーベン)
4. LZ120(DELAG船ボーデンゼー)
[答] 4
[解説]
1900年に初飛行したツェッペリン第1号の「LZ1」は全長128m、最大直径11.7m、エヒターディンゲンで炎上した「LZ4」は全長136m、最大直径13m、ヘルマン・ヘッセが招待されて乗船した「LZ10:シュヴァーベン」は全長140m、最大直径14mでした。
第一次大戦後建造された「LZ120:ボーデンゼー」の新造時の全長は120.8m、最大直径は18.7mで、「LZ1」より短かったのです。
のちに延長工事が行われ130.8mになりました。
「LZ120:ボーデンゼー」は小型ながら画期的な旅客用飛行船でした。
初めて運航スケジュールにより、3ヶ月間殆ど毎日のようにフリードリッヒスハーフェンとベルリンを往復していました。
また、時速130kmと、当時としては最も早い飛行船でした。
ツェッペリン飛行船として初めて建造された流線型飛行船でした。
船体下部に操縦用・旅客用区画を一体として取り付けたのも初めてでした。
また、初めてアクティブな無線方位測定器と無線電話の適用を試行しました。
船内新聞を初めて発行したほか、郵便や陸上交通が混乱していた1919年には電報を運んだこともありました。
近代的旅客用飛行船の原型だったと言えると思います。
このボーデンゼーをベースに、米海軍向けの賠償飛行船「LZ126:ZRⅢ(ロサンゼルス)」で海洋上の長距離飛行を実現し、実用試験船として「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」を経て、本格的渡洋旅客飛行船「LZ129:ヒンデンブルク」の建造につながって行ったと考えています。
しかし「ボーデンゼー」は1919年12月に世界大戦の賠償として連合軍に引き渡されることになりました。
ドイツは軍用船ではないと抗議しましたが、賠償に指定されていた軍用飛行船を保管にあたっていたドイツの兵士が破壊した代償としてイタリアに引き渡されることになったのです。
1921年7月3日、エッケナー博士が指揮してローマ近郊のチャンピーノまで移送されました。
イタリアではエスペリアと命名されて陸軍の手で長距離飛行などが行われ、1928年に解体されています。
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