2008年11月06日
飛行船四方山話(1):ヘルマン・ヘッセの体験
昨日のこの欄で述べた、飛行船に関する4択問題を「飛行船四方山話」として、幾つか紹介してみようと思いついた。
最初はヘルマン・ヘッセの体験からである。
[区分] 船内サービス
[級] 初級
[問題]
ドイツのノーベル賞作家、ヘルマン・ヘッセは飛行機や飛行船が好きで、旅客機ばかりでなく各地を飛行して回った飛行家に同乗したこともあります。
そのヘッセが1911年7月13日、ツェッペリン飛行船会社から招待を受け、2時間の遊覧飛行を経験しています。
その船上でのあるサービスについてヘッセが「飛行船の中では唯一ナンセンスで必要のないもののように思えた。」と述べているのは何でしょう。
1.双眼鏡の提供 2.蓄音機による音楽 3.シャンパン 4.ピーチメルバ
[答] 3
[解説]
ヘッセはDELAGから招待状の郵送を受けて1911年7月13日にフリードリッヒスハーフェンで「LZ-10:シュヴァーベン」に乗って2時間の遊覧飛行を楽しみました。
とても興奮し、感激した様子を「素晴らしい空中散歩」という短編で発表しています。
そのなかで、吹きさらしの乗客用ゴンドラで籐椅子に座って離陸から着陸までの様子を描いています。
彼が「必要のないサービス」と思ったのはシャンパンのサービスでした。
その当時の「シュヴァーベン」のメニューには最上級ベルーガキャビア(4マルク)、フォアグラのパイ包み(3マルク)、フランス風肥育鶏(3マルク)、サラダ(1マルク)、ピーチメルバ(3マルク)などが並んでいました。
ワインは独仏のワインが数種類(4〜17マルク)、そのほかにはクルボアジェコニャックなどのリキュール、ミネラル水などが挙がっていました。
双眼鏡の貸与はなく、乗客がオペラグラスなどを持って乗船したようです。
当時、蓄音機はありましたが重量があり、飛行船には不向きでした。
「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」が世界一周したときは蓄音機でジャズを掛けてダンスを踊ったと、ハースト新聞特派員のドラモンド・ヘイ女史は書いています。
このシュヴァーベンに乗務していたハインリヒ・クービスは、世界最初のエアライン・スチュワードです。
クービスは「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」の世界一周飛行にも乗務し、レークハーストで炎上した「LZ129:ヒンデンブルク」にも乗っていました。
この事故では多数の乗客・乗員が犠牲になっていますが、クービスは生き延びています。
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