2008年06月08日
ザムト著「ツェッペリンに捧げた我が生涯」
アルバート・ザムト著「ツェッペリンに捧げた我が生涯」を読んでいるが、面白い。
ザムトは、兄がロープや滑車を担当するマイスターであったことから誘われて1912年に初めて飛行船に乗船した。
おそらく「LZ11:ヴィクトリア・ルイゼ」がハノーファーに行ったときであろう。
戦後「LZ120:ボーデンゼー」で方向舵手になり、「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」が初めて大西洋を横断したときは昇降舵手であった。
「LZ127」が大西洋のど真ん中で荒天に遭い、エッケナー博士が経験の浅い舵手に代わって経験豊富な舵手に昇降舵を任せようとしたが、その直前に15度を超える大傾斜となり朝食の用意が出来たテーブルがひっくり返り水平尾翼の外被が裂けてしまった。
そのとき、エッケナーが呼びにやったのがアルバート・ザムトであった。
ザムトはレークハーストで事故を起こした「LZ129:ヒンデンブルク」の姉妹船で最後のツェッペリン飛行船となった「LZ130:グラーフ・ツェッペリンⅡ」の船長であった。
ザムトが凄いと思うのは、90歳でその著書を出版したことである。
フェルディナンド・ツェッペリン伯爵の孫に当たるヴォルフガング・フォン・ツェッペリンがまえがきを書き、飛行船研究家のペーター・クラインハインス博士が訂正・加筆を加えて1980年に初版が発行された。
ヴァールヴィースのペスタロッチ子供の家の出版部から発行されている。
この本には創業期、大戦後の復興期、最盛期にわたって伯爵、エッケナー博士、ルードヴィッヒ・デューアなどの挿話が幾つも挿入され、当時の様子が判る貴重な資料である。
また、その文体はエッケナー博士のような複雑・難解な構文が少なく非常に読みやすいし、カラーを含めて貴重な図版が掲載されていることも有難い。
じっくり時間をかけて読もうと思っている。
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