2007年08月11日

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(飛行船:414) エッケナー博士とツェッペリン飛行船(66)

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(太平洋上の夕焼け:ツェッペリン・アルバム(タバコカード集)から)

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 世界周航(19)

船上で、すべてのエンジンに対して100時間分の燃料を補給した。

ロサンゼルスまでの距離は1万kmであり、従って広い太平洋を渡るこの飛行に確信を持って臨んでいるのである。

航法的には興味のある飛行であった。

東京を出発前日通過した台風に関心があったが、それは北東に移動して行った。

この台風に追いつけると思った。
そうすればこれを利用することが出来るかも知れない。

何となれば、台風の中心は飛行船ほど速く移動しないからである。

それで、進路を東方に定めた。

天候は晴れ、ほぼ静穏であった。

しかし3時間もしないうちに、徐々に強さを増している強い北風になった。
台風のうしろに近付いている兆候であった。

東に立ち上がる一群の黒雲が見えた。
雷を伴ったひどい暴風が飛行船の進路を遮るように広がった。

陽は沈みつつあり、赤金色の巨大な雲の峰を輝かせていた。

それは忘れがたい光景であった。

前方に雲の壁が現れてから、台風の中心は少なくとも80〜100km北にあったが、南の驟雨前線に逃げ道を見つけた。

少し南寄りに変針し、ほどなく2つの暴風の間に隙間を見つけてそこをすり抜けた。

思ったように事態は早く展開していた。

強かった北風は急に弱くなり、定常的に吹く南西の風になり、台風にかき回された乱流の南方で速く飛べる見込みが得られた。

海面上時速80kmに落ちていた速度が、徐々に140kmまで上がり、その後4、5時間持続した。

そのあと台風の余波を脱して天候は静安になった。


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