2007年08月07日

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(飛行船:410) エッケナー博士とツェッペリン飛行船(62)

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(スタノボイ山脈:ツェッペリン・アルバム(タバコカード集)から)

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 世界周航(15)

午後6時、目の前の広いレナ川の川辺にヤクーツクが見えた。

立派な通りに沿って、木造住宅や小屋に囲まれて、分散して建てられた大きな居留地があった。

広い河岸の膨大な木材置き場を見て驚いた。
この木材は何処に船積みされるのだろう。
レナ川を北極海に下るのであろうか?

決してそんなはずはない!

この大量の木材は、特別寒い冬のために用意されているのだろう。
人々は大量の木を燃やして暖をとるのである。

街外れの小さめな墓地に花輪を投下して船首を巡らせた。

スタノボイ山脈を越える峠を目指して南東に向かうのである。

そこから3000km以上離れていたので山脈はまだ見えなかった。

誰も住んで居らず、何もない大地を進んだが、なかなか良いところで山脈に近付くにつれて絵のような趣のある景色になっていった。

2時間飛行して、レナ川の相当大きな支流であるアルダン川を渡った。
その川は山脈に沿って流れていた。

アルダン川に注ぐ支流の両側に800〜1000kmに及ぶ長い山脈が連なる谷間で徐々に高度を上げ始めた。
この長い山脈はオホーツク海に面した東岸まで続いていた。

ヤクーツクを高度約500mで通過してきたが、広いレナ川流域からアルダンまではそれほど高い高度ではなかった。

ここに来て最初1000m、次いで1200mと巨大な山脈の幅の広い尾根が姿を現し、見渡す限り、これまで経験したことのない高さまでゆるやかに上っていった。

どれほど高いのであろうか?

地誌によれば尾根の高さは優に2000mを越え、アヤン港に続く峠はおよそ1500mであった。

しかし、地図では山岳地帯全体の領域は不明確で、谷はだんだん狭くなり、両側の山頂はさらに高くなるので緊張と不安に包まれていた。

昼に頂上に到達した。
前方にそれより高い尾根は見えなかった。

すでに1700mまで昇ってきたが、乗り越えねばならない峠はそれより高く見えた。

やや強い北西の風が谷を吹き上げ、岩壁に近付きすぎないように用心しなければならなかった。

およそ1800mまで昇って、これで乗り切れれば良いと思った。

それより700〜800m上まで上昇することは出来たが、そうすると大量のガスを放出せざるを得ず、その分飛行船が重くなる。

これは出来るだけ避けねばならなかった。
飛行中、いつ雨によって船体が重くなるか判らないからである。


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