2007年06月28日

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(飛行船:370) エッケナー博士とツェッペリン飛行船(26)

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(マデイラの孤島:ツェッペリン・アルバム(タバコカード集)から)

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(マデイラ諸島:ツェッペリン・アルバム(タバコカード集)から)

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(諸島最大のマデイラ島の岩山:ツェッペリン・アルバム(タバコカード集)から)

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(マデイラの首都フンシャール:ツェッペリン・アルバム(タバコカード集)から)

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 グラーフ・ツェッペリンの最初の飛行(6)

渡洋飛行は順調に快適な飛行を続けており、嬉しいことに南まわりルートうまく短時間横断が期待できるほどであった。

フリードリッヒスハーフェンを出発してから地中海まで、それに地中海上空の殆どで受けていた時折強くなる向かい風は、海上に出ると徐々に好転しているように見えた。

ジブラルタルを過ぎて1時間後、海面は弱い北北東の風に波立ち、有名なポルトガルの「ノーザー」が吹き寄せていた。

やがて風はどんどん東に向きを変え、ジブラルタルから3時間後には、強い北東の風に押されて対地速度は75〜80ノット(時速140〜150キロ)になった。

空には雲もなく、周りじゅう青く輝く海が広がり、時折 白い波頭が飛行船と一緒に動いているように光っていた。

強い西風域から脱したのである。

針路をマデイラにとった。

このルートは南を通り、長く東風が吹くので速度が上がり、距離は長いけれどもそれを補ってくれることを望んでこのコースを選んだのである。

現地時間の午後1時には、靄のなかから浮かんでくるマデイラの山が見え、まもなく緑の葡萄畑と、白い別荘と、グロテスクに角張った絶壁と渓谷の、優雅な楽園の島が日差しを浴びて目の下に見えた。

人々が家から走り出し、大声をあげたり手を振ったり、頭上の大鳥を見上げて大騒ぎしている、蟻の巣のようなフンシャール港に近付いた。

ここの人達も新聞で見たことのある、このとてつもなく大きい飛行船が何の前触れもなく現れたのである。

これから数年間、この島の人は南米定期航路に就航したグラーフ・ツェッペリンを何度も見上げることになる。

記者や乗客が手紙や葉書を書いたので、ここでも郵嚢を投下した。

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[註]マデイラ
大西洋上に浮かぶポルトガル領の諸島である。
主な島は首都フンシャールのあるマデイラ島のほか、ポルト・サント島、デゼルダス島、それに無人のセルヴァージェンス島の4つである。
マデイラ島には最高峰のピコ・ルイヴォ(標高1861m)、ピコ・ド・アリエイロなど2000m級の岩山がある。
1991年の統計で25万人が住んでおり、そのうち17万人が首都フンシャールに集中している。


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