2007年05月26日
(飛行船:336) 丁亥飛行船紀行(22) ボーデン湖を翔ぶ(9:着陸)
離陸して55分、飛行船「D-LZZF」はフリードリッヒスハーフェンの町に戻ってきた。
この飛行船はツェッペリンNT07型の3隻目である。
1号船は「D-LZFN:フリードリッヒスハーフェン号」と命名されていたが、現在アフリカのボツワナまで海上輸送され、超精密地球探査センサーを搭載してカラハリ砂漠でダイアモンド探床を行っているという。
同センサーは飛行機やヘリコプターでは機体の振動で測定不能になるそうである。
2号船は「D-LZZR:ボーデンゼー号」と呼ばれていた。日本に海上輸送され、(株)日本飛行船の「JA101Z」となって国内を飛翔していたが、2010年5月末で同社が倒産し、繋留されてしまった。
飛行高度が低いので、操縦席の両舷に小さい窓があるほか、客室にも比較的大きな窓が切り明けられている。
窓の反射光の写り込みを避けるには、ここからカメラのレンズを出して撮影することも出来る。
5月初旬のボーデン湖の風は爽やかであった。
DZRの基地に帰ってきた。
地上に大きな影が写っている。
今回の着陸は乗客を乗せ替えてすぐに飛び上がるので繋留はしない。
マストカーは待避しており、地上支援員のみがサークルで見守っている。
船上の乗客は2人ずつ素早く下船する。
地上で待っている次航の乗客は誘導員の指示で2人ずつ乗り込む。
この繰り返しにより、飛行船の重量許容誤差の範囲で乗り換えが完了する。
接地後2〜3分で乗客の乗り換えが完了し、離陸した。
ディナさんが手を振って見送っていた。
キャビンからも嬉しそうに手を振っていた。
見る見る遠ざかって行く。
我々は待合室に誘導された。
ディナさんから1人ずつ名前を呼ばれ、乗船証明書と氏名の入ったフライトブックが手渡された。
英独文によるこの冊子には、戦前のツェッペリン飛行船概史、戦後の再建、ツェッペリンNT開発などを鮮明な写真で解説してあり、良い記念品となった。
グラスがまわされ、関係者で祝杯を挙げた。
天気にも恵まれ、良い遊覧飛行であった。
それにしても、離陸時刻0900、着陸時刻1000というフライト時刻には驚いた。
これほど正確なスケジュールが意図して守れるものではない。
時の神のいたずらであろう。
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