2007年05月14日
(飛行船:324) 丁亥飛行船紀行(10) フリードリッヒスハーフェンのツェッペリン博物館(3)
この復元モデルの特徴は大きさや外形を実寸再現しただけではないところである。
実際に、当時のものと同じ骨組みで構成し、キャンバスで外皮を張り当時と同じように塗装してある。
ジュラルミンのパイプを3本組み合わせて桁材を構成し、それを組み合わせて船体を組み上げている。
この部材間をワイヤで張りめぐらしてあり、そのワイヤで仕切られた空間に巨大なガス嚢が収容されていた。
燃料用のガソリンタンクや水タンクも再現されていた。
再現されたラウンジやキャビンを見て広さや狭さを感じたり、家具や壁紙のデザインを眺めたりしているだけではここまで来た甲斐がない。
ここにあったガス嚢を想像し、その隙間で航行中の乗組員が当直のために寒い上空でエンジンゴンドラに乗り移ったり、点検や補修のために命綱をつけて頂部に出たりしたことを想像するとその凄さが判る。
展示室には「LZ-129:ヒンデンブルク」のフレーム結合部も展示されていた。
部分模型も並べてあった。
傍には「LZ-127:グラーフ・ツェッペリン」の結合部も展示されていたが「ヒンデンブルク」の方が後で建造されただけでなく、主船体の直径も「グラーフ・ツェッペリン」が30.5mであったのに対して5割以上大きいため強度を上げていたことが見て取れる。
展示場に配置されている人達は説明員でも学芸員でもない警備員であろうが、彼らの仕事と展示物に誇りを持って熱心に働いていた印象を受けた。
我々を見ると英語で出しゃばらない程度に説明し、あるいはあそこにこんなものがあると案内してくれた。
これはメーアスブルクの両博物館でも同様であった。
軍用飛行船の展示場や、アメリカに空輸した「LZ-126:ロサンゼルス」関連の展示場もざっと見て回り、当時の映写フィルムをビデオで再生しているのを見たが初めて見る映像もあり興味深かった。
その他の展示品をここで列挙するのは控えるが、ツェッペリンの飛行船だけでなく、マイバッハのエンジン、ドルニエの飛行艇、それにツェッペリンブランドの建設機械まで展示されていた。
それにツェッペリン伯爵、エッケナー博士、ドルニエ博士、デューア博士、マイバッハ博士などツェッペリン飛行船の開発に寄与した人々の業績がパネル展示されていた。
実は、この博物館の売店に期待をしていたのであるが、そこに展示してあるものには書籍にしろモデルにしろ特に眼を惹くものはなかった。
この日は日曜日でもあり、子供を含む客が多くじっくりものを探す時間もなかったのでピンバッジや絵葉書を幾らか求めて帰途についた。
この博物館は引込線の終点であるフリードリッヒスハーフェン港駅(Hafenbahnhof)の前にあり、我々の宿舎ゼーホテルは市駅(Stadtbahnhof)前の広場に面している。
湖岸の公園を歩いて1キロ程度なので良い散歩道である。
この径もマロニエや藤棚が花の盛りであった。
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