2006年12月18日
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(飛行船:189) ツェッペリンアルバム(写真:第69回) 写真87 −LZ127 航法室から操舵室を望む−
[87枚目:運転室の一齣]
この写真は航法室から見た操縦室で、解放されたドアの向こうには、中央に方向舵輪があり磁気コンパス(羅針儀)とジャイロコンパスが設置されている。
磁気コンパスには磁気偏差があるので地理学上の北極と磁気的な北極には位置の相違が生じる。
それで主羅針儀は軽いアルミニュームの容器に収められており、方向指示の誤差を局限して方向舵スタンドに間違った指示をしないように対策が講じられている。
昇降舵輪は左手前にあるがこの写真ではチャートテーブル前壁の影になって見えない。
ドア右の窓越しに見えるのはエンジンテレグラフである。
主船体から司令ゴンドラを支えているガーダーの軽目孔(ライトニングホール)が大きいことに気がつく。
現在のジェット旅客機の操縦室に較べると物足りないが、当時は短波・長波の受信機で各地の気象情報を受信し低気圧を如何に回避して飛行するかに掛かっていた。
従って方向舵手よりも昇降舵手に経験と気象変化の読みが要求されていた。
この辺りの経緯は「ヒンデンブルク」がレークハーストで爆発炎上した際に乗船していた昇降舵手を父に持つボエティウスの小説の中で鮮明に描かれている。
若い頃ヨットマンであったエッケナー博士は何十人もの操舵手や船長を養成したが、気圧配置による気象変動の読みを非常に重視していたと言われている。
もし、ナチに排除されずにエッケナー博士が「ヒンデンブルク」の操船指揮をとっていたならあの悲劇は避けられたかも知れないと言う説もある。
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