2006年11月25日

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(飛行船:164) ツェッペリンアルバム( Appendix Ⅲ ) 「LZ-127」の配置図(2)

Zeichnung3.jpg

前回に引き続き、縦断面の拡大をたどることにする。

Zeichnung3_B.jpg

乗客・司令ゴンドラの後の "Elektr. Heizgenerator" は暖房用風力発電機である。
この風力発電機でまかなえる電力は限られており、当初はラウンジにささやかな暖房があったのみで乗客のキャビンにはなかった。

この図からも乗客・司令ゴンドラが主船体の下にめり込むように作られていることが読み取れる(このシリーズの「写真:第44回」のボーデンゼー(写真61)と比較されたい)。

その後方の "Fahrtballast" はバラスト水タンクである。
上記風力発電機直上のタンクと合わせて容量は1000リッターである。

その後隣の "Aufenthaltsraeume der Besatzung" は乗組員の休憩室である。

さらにその後の "Vorratsoeel" は潤滑油の貯蔵庫である[註]。
容器に入れて天井から吊り下げられているのは傾斜したとき、自由液面対策であろう。

乗務員休憩室前のバラストタンクの前から垂直にステップが頂部まで上がっている。
中央通路を越えて昇った頂部にあるのは観測プラットフォームである。

この垂直ステップのあるリングの位置が後部垂線から155m前方の155ステーションである。
飛行船も船舶と同様に船尾に基点を置き、前後方向の位置はここを起点として表示する。
「LZ-127」の場合は安定板(尾翼)と昇降舵・方向舵の取り付け位置が−2mポイントとなっている。
従って垂直ステップの位置はそこから157m前方と言うことになる。

ちなみに「LZ-127」では最後端が−17.8m、最前端が215mで、全長232.8mと言うことになる。
C.Stephenson の「Zeppelins: German Airships 1900-40」の要目表の中で「LZ-127」の全長は236.6mとなっているがその差は付加物を含めた長さか、あるいはメートル法で表示された数値がフィートに換算され、また逆換算された際の誤差かも知れない。
ついでながら基本設計を終えて詳細設計に掛かった時点で何らかの事情により起点が変更されることがある。
「LZ-129:ヒンデンブルク」では船尾端が「2mステーション」であった。
これは設計途中でレークハーストの格納庫に収まるように船尾を2m短縮したが、途中でステーションの呼称を変更するとトラブルの原因となる可能性があるのでステーションナンバーは初期の呼称から変更しなかったことによる。
「ヒンデンブルク」の場合、最尾端が2m、船首端が247.05mで、全長は245.05mであった。

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[註]
断面図に記載されている潤滑油貯蔵庫のスペルは間違っている。
ドイツ語にはa,o,uにウムラウト付きの文字があり、ウムラウト文字のないタイプライターではそれぞれae,oe,ueとタイプするが、B.Waibel,R.Kissel著「Zu Gast im Zeppelin」にこの図と似た図面があり、そこにはウムラウトが使われていない。
原図を参考にこの図面を描いた際にoel(油)と書くべきところをoにウムラウトを振ってしまったのであろう。
その結果、eがダブってしまっている。本来"Vorratsoel" が正しい。


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