2006年08月29日

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(飛行船:96) LZ-129「ヒンデンブルク」のキャビン

LZ129_Adk_plan.jpg

「グラーフ・ツェッペリン」の運航実績を参考に本格的旅客用飛行船として設計された「ヒンデンブルク」の客室はツイン25室、乗客定員50名で竣工した。
(常時満席だったので就航後客室が増設されている)

以前からその部屋の配置に疑問を持っていた。
通常、船舶も航空機も左右対称が原則である。
奇数の区画をどう配置したのか知りたかったのである。

今回、ハロルド・ディック著「グラーフ・ツェッペリンとヒンデンブルク」に載っていたアコモデーションプラン(上図)で疑問が解決した。

Aデッキの中心線の両側にツインキャビンが4列設けられていた。
右舷外側船尾側がバースナンバー(BNと略記する)1,2の部屋であり、そこから前方に7室BN13,14まで7室並んでいる。
内側は外側より1室少なく、6室(前からBN15〜26)が外側と向かい合わせになっている。
左舷内側は後端がBN27,28で、そこから前方にBN37,38まで6室あり、外側は前端のBN39,40から始まり、後端のBN49,50まで6室しかない。
BN43,44のキャビンとBN45,46のキャビンの間が抜けているのである。

上図で判るように左舷側はダイニングルームでギャレーはBデッキにある。
ダイニングルームに出す料理を用意する配膳室をキャビンの間に設けたのである。
恐らくトレイを載せられる程度のリフトを設け、ギャレーから上がってきた料理をテーブルに運んだのであろう。

配置図で右に Ring173、Ring188 とあるのは船舶のフレームナンバーに相当する設計上のポイント(面・線)を示すリングナンバーである。
全体の基準点となる後部垂線を起点として、そこからの距離をメートル表示したもので、これによりAデッキの長さが15mであると判る。
船舶ではフレーム(肋骨)の本数であるがツェッペリンの場合、メートル単位の長さを用いているので Ring123.5 とか Ring156.5 とか端数のついたリングもある。

余談ながら「ヒンデンブルク」は全長247.05mで設計されたがニューヨーク郊外のレークハースト格納庫に入るように2m短縮された。
この変更は加工工程に入ってから行われ、リングナンバーを改定すると混乱が予想されるためオリジナルリングナンバーで建造された。
従って後端は Ring2 であり、先端のノーズコーンは Ringstation247.05 である。

LZ129staircases.jpg

この写真は右舷側(ラウンジ側)から見た居住区入口である。
手前の階段を下りるとBデッキ経由ギャングウェイに行くことが出来る。

階段の向こう、画面中央に見えるのが BN49,50のキャビンで、その右に左舷側のキャビンに通じる通路の入口がある。

左舷側に見えるソファーは左舷プロムナードの後端にあたる。

LZ129cabin1.jpg

キャビン内部である。

上段のベッドは「グラーフ・ツェッペリン」のようなプルマン式ではなく造付けでアルミニュームの梯子がついている。

但し、キャビンを中心部に配置したため全てインサイドルームになって窓はない。

キャビンには冷水と湯のカランが付いていた。

LZ129hallway.jpg

幼い頃「飛行船に乗って夜、靴を部屋の外に出しておくと朝磨かれていた」という話を聞いたことを憶えている。

この写真を見るとあながち誇張ではなかったようである。

写真は R.アーチボルト、K.マーシャル共著 "HINDENBURG - an illustrated history - "から転載した。

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