2006年07月12日

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(飛行船:68) 『飛行船の黄金時代』 第3章:「グラーフ・ツェッペリン」(2)

LZ127Plan2.jpg

(前回からの続き)

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上部水素気嚢の自動弁は船体下部にあるキール(竜骨)から到達出来なかったのでセイルメーカー達がこれらの弁を操作するために中央通路が設けられたことを書いておかなくてはならない。

中央通路は船体中心線上で、上下位置は断面の中心よりやや下である。

比重 1.06 のブラウガスを使用することの大きな利点は、エンジンの消費によって船体重量が殆ど軽減しないことである。
そして水素は飛行中、船体を静的平衡状態に保つために、ガソリンを燃焼させる場合のように不経済な弁遮断をしなくて済んだ。

ある程度のガソリンはキールに沿ったタンクに搭載されたが、実際の燃料の組み合わせは、私が乗船した ある南アメリカ飛行の場合、ローディングシートに示された実績に従っていた(後述の 第8章に記載の366次航データを参照のこと)。

船体後部は厚みのある片持ち式の鰭で、下部に補助操舵室が設置されていた。
船首部には繋留柱に取り付けるための繋留コーンが設けられていた。

エッケナー博士は従来通り地上の作業チームによる格納庫へのドッキングを好んでおり「グラーフ・ツェッペリン」をレークハーストの高いマストに繋留しようとしたことはなかった。

1931年初頭、リオデジャネイロへの旅客輸送飛行に就航していた「グラーフ・ツェッペリン」はペルナンブコのレシフェに寄港したときに短いマストに通常の繋留を行っている。

「グラーフ・ツェッペリン」には「ロスアンゼルス」と同じように5つのエンジンゴンドラがあり、それぞれにマイバッハ製VL-2 V型12気筒のエンジンが搭載されていた。これは VL-1 を改良し、頑丈なクランクシャフトにして圧縮比を高めたものでフルスロットルで550馬力、1400回転の巡航時出力は450馬力であった。

前部ゴンドラは同じく20人乗りの「ロスアンゼルス」と同様に造られていたが寸法はさらに拡大され、長さ 98.5フィート、幅は 20フィートであった。

操縦室は前部にあり、方向舵・昇降舵の舵輪と、ガスおよびバラスト水の操作盤それにエンジンテレグラフが装備されていた。
計器類は、舵手のための磁気コンパスとジャイロコンパス、高度計、昇降計、微気圧計、傾斜計、それに昇降舵手のために新しい計器として、7つの気嚢が100%展張していることを示す指示計が追加されていた。

操縦室の直後にはゴンドラの幅一杯の海図室が設けられた。

その後は左舷側に無線室、右舷側に調理室があった。
無線室も調理室も小さな風車駆動の発電機により電力を供給されていたが、その発電機はゴンドラの側面からブラケットで展張することが出来た。
出力140ワットの主送信機と70ワットの電池で駆動される非常用送受信機があり、その何れにも電波式方向探知器が装備されていた。

調理室には2基の電熱器によるストーブと、温水器、冷蔵庫、ディナー用の食器類を収納するラックなどがあった。

長いゴンドラへの舷門に当たる扉は左舷、調理室の直後にあった。

その後方にはゴンドラの全幅にわたるラウンジがあり、その広さは縦横とも 16.5フィートで、外側に傾斜した4つの大きな窓があり、ダイニングテーブルが4つ、椅子が16脚置かれていた。

さらに後部には20人の乗客のために両側にそれぞれ5室、通路に面した就寝用キャビンが用意されていた。
各キャビンには、それぞれの窓がありソファ、衣類用クローゼット、小テーブル、折り畳み式キャンバス・スツールが備えられていた。
夜間はソファの背がヒンジで持ち上がり、天井から吊られて上段の寝台となった。

ゴンドラの右後方には洗面所とトイレットがあった。
使用済みの水は船外に投棄することなくバラスト水として蓄えられた。

(続く)

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見出しの平面図は「グラーフ・ツェッペリン」の操縦室と乗船客の居住区である(同書:P34)。

LZ127ControlRm.jpg

「グラーフ・ツェッペリン」の操縦室の前半部である。
方向舵の舵輪が中央に、昇降舵の舵輪が左(左舷)側に見える。
気嚢の弁とバラスト水の操作盤もこの区画にあり、エンジンテレグラフは右上(右舷)側にあった(同書:P36)。

LZ127AftGondora.jpg

「グラーフ・ツェッペリン」の後部エンジンゴンドラである。
下部垂直安定板前方の船体中心線上に設置されていた。
エンジンはマイバッハ製VL-2で、最大出力550馬力、巡航時出力450馬力であった(同書:P36)。

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