2006年06月20日

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(飛行船:49) 『超大型旅客用飛行船の黄金時代』 まえがき(2)

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まえがきの続きである。

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ドイツからグッドイヤー・ツェッペリンへの私のレポートや、ポール W.リッチフィールド大統領への進捗レポートなどの通常ルートによるレポートが記録されている。
ドイツがナチズムと再軍備を加速させていた1937,8年の時期にはレポートや技術情報をグッドイヤーに送ることは出来なかったが、情報は継続して収集し私の個人ノートに蓄えられた。
ツェッペリン飛行船製造(株)の人達との密接で友好的な関係により私のデータ収集に決して疑念を生じることはなかった。

大型硬式飛行船の設計・エンジニアリング・建造・運用に関するデータ収集がこの著作の基礎となっている。
広範囲なメモ・レポート・記録データを含む資料は編集され整理されて不滅の事業に耐える質に精製された。

この仕事に最も適任の人物は大型硬式飛行船に関する数冊の書籍の著者ダグラス H.ロビンソン氏である。
氏はアメリカだけでなくイギリスやドイツを含めた大型硬式飛行船に関する第一流の研究者として知られている。

私がダグラス・ロビンソン氏と初めて出会ったのは1937年夏のことである。
そのときダグラス氏は19歳で、ヨーロッパを自転車旅行しており「ヒンデンブルク」の姉妹船、後に「グラーフ・ツェッペリンⅡ」と命名されるLZ130を見るためにフリードリッヒスハーフェンに立ち寄ったのである。
クヌート・エッケナーに呼ばれて彼の事務所に行きそこでダグに会い、彼を格納庫に連れて行きLZ130を見せた。
LZ130はヘリウムガスで運用するために改装中であった。
私はダグが何度もその船に入って見たいと懇願したことを良く憶えている。
しかし、それは不可能であった。安全のために禁止されていたのである。

数年の後にダグラス H.ロビンソン博士と交流が再開され、膨大な量の情報やデータを活用できるように整理する辛気くさい仕事を分担してくれた。

この本に添付された詳細なデータや技術情報は有益である。
この話でたとえ巨大な硬式飛行船を見たことがない人にも、関係者がその頃それを開発し、建造し、飛行させたことに興味を持って貰えることを望んでいる。

この本で表現された意見は私自身の考えである。

ハロルド G.ディック

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見出しの絵葉書は前回のものと同じ私のコレクションである。

ボーデン湖畔のフリードリッヒスハーフェン上空を悠々と往く「グラーフ・ツェッペリン」である。

前回の絵葉書と同じ見学記念のスタンプが押されているが、印刷時期は少し違うようである。
版権に関する記載には英文も併記されている。
LZ-127の垂直尾翼に鉤十字のマークは描かれていない。

来年5月にツェッペリンNTで同じ空域の遊覧飛行を予定しているがいまから楽しみである。


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