2006年04月02日

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(飛行船:38) グラーフ・ツェッペリンのサロン

SugarPot.jpg

今回はLZ-127「グラーフ・ツェッペリン」のギャレーやサロンを写真で紹介することにする。

この船では主船体に乗客用の区画や施設はなく、すべて前部中央下方に張り出したゴンドラと呼ばれる部分に集中している。
即ち、運転室の直後に航法室があり、その後方左舷側に通信室、右舷側に厨房がある。

その後ろにゴンドラで一番広いスペースがある。サロンである。
ゴンドラの全幅にわたっているので構造を支えるために中央に2本の柱が立っている。
両側に大きな窓があり前後左右4つのテーブルが設置されている。
ちょっと無理をすれば乗客定員20名の席が用意できる。

Salon.jpg

事務部の職員としてシェフ1名のほかにスチュワード1名ボーイ1名が乗り組むことになっていた。
写真に写っているスチュワードはハインリッヒ・クービスであろうと推測している。
窓の外をゆっくり流れる景色を眺めながらこんな食事をしてみたいものである。

Steward.jpg

でも、乗客全員が同時に着席するとシェフもウェイターも大変である。
ちょっと太めのシェフは人気者のマンツであろう。
シェフが出てきたらギャレーは留守である。
ひょっとしたら係留中に写真を撮るための演出かもしれない。

DinnerTime.jpg

眼の不自由な乗客のために手空きのクルーが食事のサポートをしている写真も残されている。

Support.jpg

食事時間以外はサロンとして利用されていた。
壁紙・カーテン・椅子の背もたれの模様が違うがおそらくLZ-127の国内遊覧飛行か何かではないかと思われる。

Lounge.jpg

航法室と背中合わせのギャレーである。
食器棚にはツェッペリンの紋章の入った食器が見える。

Galley.jpg

シェフの仕事場、ギャレーである。

Chef.jpg

テーブルセットもなかなかであるが、20人分の食器類を収納するだけでも大仕事であろう。

TableSet.jpg

上のテーブルを別の角度から撮ったものと思われる。
見出しのシュガーポットのようなLZの紋章が入った食器類はハインリッヒ製陶で作られた。
フリードリッヒスハーフェンのツェッペリン博物館にいまも展示されている。

Tableware.jpg

ドイツやフランスのワインを揃えたワインリストである。
白、赤、スパークリングのほかリキュールもミネラルウォーターも載っている。

Winelist.jpg

下の写真が撮られたのは食後のひとときであろう。
アコーディオンを弾いているのはエルンスト・レーマン船長で、そばにいるドラモンド・ヘイ女史は世界周航のスポンサーとなったアメリカの新聞王ウィリアム・ハーストが派遣した特派員である。

accordion.jpg

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(註)
写真の大部分はフリードリッヒスハーフェンのツェッペリン博物館発行のB.Waibel、R.Kissel共著「ZU GAST IM ZEPPELIN」からの転載したものである。
一部は中央公論社刊:柘植久慶著「ノスタルジック写真集 ツェッペリン飛行船」から転載した。


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