2006年04月05日
(飛行艇の時代:51) 飛行艇の客室( C class の場合)
先日、旅客用硬式飛行船「グラーフ・ツェッペリン」のサロンやギャレーを載せたので飛行艇についても検討してみたい。
今回は英国ショート社のS23型飛行艇「エンパイア」を取り上げる。
後のパンアメリカン航空のクリッパーと呼ばれた大型飛行艇はサンフランシスコから香港に行くルートを例にとると、途中ハワイ・ミッドウェイ・ウェーキ・グァム・マニラに寄港して着水し艇内で食事をして、ベッドメーキングの上睡眠をとった。
翌朝離水して次の中継ポイントまで飛行したのである。
これは当時、ミッドウェイ・ウェーキ・グァムなどには宿泊したり食事をとる施設がなかったからであろう。
イギリスの場合、その当時世界中に植民地があった。
この飛行艇の開発目的が世界に広がる植民地のどこにでも追加料金なしで郵便網を敷くことにあった。
その計画が「エンパイアプロジェクト」であった。
地中海を経由して南アフリカ・インド・オーストラリアへ、あるいは大西洋を越えてアメリカやバーミューダに定期空路が開設された。
郵便物1.5トンを搭載するほか、乗客も乗せたが乗客定員は22名しか運ばなかった。
艇内にプロムナードデッキやサロンを設け、トイレットも2ヶ所用意されていた。
この飛行艇はS23(ショートブラザーズ社23型艇)「エンパイア」という立派な艇種名があったが、人は「Cクラス」と呼んでいた。
一番艇「キャノパス」以降「キャバリア」「カリブ」など "C”で始まる固有艇名をつけていたからである。
S23型31艇のほかS30型9艇、S33型2艇の42艇がCクラスと呼ばれたが、このほかにGクラスと呼ばれる長距離型も製造された。
夕刻になると飛行艇は着水した。
発動機や艇体の整備を行い補給を行うためである。
乗客はホテルに宿泊し翌朝艇に戻って旅を続けたのである。
この写真はプロムナードデッキと呼ばれるスペースである。
もちろん片舷にしかないが大きな窓から島や船が見えるプロムナードデッキは贅沢である。
足が伸ばせるだけと違って字義通り歩き回れるのはうらやましい。
向こうに見えるアーチは前方の客室に通じている。
艇底にステップがあるため一段低くなってる。
この写真は前部客室である。
ゆったりしたつくりである。
艇内ではどんなランチが出たのであろうか?
乗務員の定員が4〜5名と言うから、機長・副操縦士、機関士、航法士を除けばパーサー1人しか乗務しない勘定になる。
"(飛行艇の時代:51) 飛行艇の客室( C class の場合)"へのコメントはまだありません。