2006年02月10日
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(船舶の絵葉書:16) フランス
フレンチライン(CGT)の「フランス」
第二次大戦で「ノルマンディ」を失ったフランスが、戦後建造した客船である。
絵葉書の写真は竣工直前の試運転のときに撮影されたものであろう。
ドゴールがフランスの威信をかけて建造計画を推進し「ノルマンディ」を建造したラトランティークで建造され、ドゴール大統領夫人によって命名された。
「フランス」の就航した1962年はアルジェリアがフランスの植民地から独立を果たした年である。
就航当時は大西洋横断航路に投入されたが、北大西洋の渡航者は客船から航空機利用に移行しつつある時期で、ジェット旅客機が登場した1957年をピークに客船利用者は減り続け翌年には航空機利用者数がこれを越えてしまった。
「フランス」は世界一周クルーズに乗り出すが、船幅が大きいためパナマ運河を利用できず南米を迂回するしかなかった。
しかも、北大西洋を横断するライナーとして設計された「フランス」は熱帯・亜熱帯のクルーズには向いていなかった。
このため1974年にフランス政府が運航支援を打ち切るとルアーブルで数年間係船されることになった。
1979年にノルウェジアン・クルーズ・ラインに買い取られて燃費節約のため主機出力を半減し、上部構造を嵩上げして同社のフラグシップ「ノルウェー」としてカリブ海クルーズに従事していた。
2003年5月、カリブ海クルーズから帰港したマイアミで機関室爆発を起こして乗組員8人が犠牲となった。
このため引退し、現在マレーシアのポートクラン(クアラルンプール近郊)に係船中である。
カジノ船にする案もあったし保存船にする運動も起きてるが、あまりに大きいため解体されることになると思われる。
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