2005年11月20日
(生い立ちの記:26) 波浪外力解明のための実船試験(8)
船は出船に接舷し、3つの鉱石倉の10枚のハッチカバーが開かれ、ピアのローダーがレール上を移動して来て倉口の上に屈み込んできた。
本船上部構造の背後に見える鉱石ヤードからベルトコンベアで運ばれてくる鉄鉱石を流し込むのである。
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船の大きさを表すトン数にはいろいろある。
艦艇の場合は排水量(ディスプレースメント:Displacement)で表す。
アルキメデスの定理により、浮体はその排除した液体と同じ質量でつり合うので排水量はその状態の船舶の質量(重量)を示す。
排水量も、積み荷や弾薬など載貨重量によって異なるので軍縮条約などで規制される排水量は基準排水量・常備排水量・満載排水量・軽荷排水量などその条件が国際的に定められている。
商船の場合、多くは載荷重量(デッドウェイト:DW)で表す。
どれだけの質量の積み荷が積めるかという数値で、満載排水量と軽荷排水量との差である。
空船(軽荷状態)に、積み荷を積めるだけ積んだ状態(満載状態)との重量差が積み荷の重量を表すからである。
この載荷重量は税金その他の基準にされる数値なので控除項目が細かく規定されている。
しかし、客船などは総トン数(グロストンネージ:GT)で船の大きさを表す。
乗客の重量は体重、携行品を含めても1トンにもならない。
仮にDW3万トンの客船は一人あたり1トンとしても3万人近くの乗客を乗せられることになるが、実際には居住区や公室に広い空間が必要とされるので載荷重量は桁違いに小さくなる。
このため、船体の体積(容積)を示すのが総トン数GTである。
このGTも運河通航料などの算定基準になるので算定基準が個別に定められている。
面倒なお話をしたが、この供試船の場合、DWは117,571トンで、GTは65,849トンである。
(大きさ総トン数6万5千トンの船に11万7千トンの荷物が積めるということである)
鉱石の積み込み量は、載荷前後の船体の喫水の差から算定される。
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