2005年11月12日
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(生い立ちの記:23) 波浪外力解明のための実船試験(5)
写真の白い箱に入っているのがステレオカメラである。
航空測量用のカメラを改造したもので、左右のカメラで撮影された画像から波浪の等高線を描くために毎日定時に撮影していた。
頑丈に螺旋止めされたヒンジドアを開けて観測室にあてられた船室から遠隔操作で撮影し、終われば再びドアを閉めておくのである。
航空写真の場合、水平に飛ぶ航空機の機体に固定され殆ど垂直真下を連続撮影するのであるが、波浪計測の場合海面を横から撮るのであり、これから等高線や波の断面を撮ってもあまり意味が無いのではないかと思う。
露天船橋の航海計器は、風雨を受けるため点検のとき以外は固縛されている。
このほかに波浪観測には「投げ捨て式波浪計」も何基か使用した。
これは高さ1m程度のブイで、中に上下向きに加速度計が取り付けられており、投下されると波の揺れによる上下動を加速度で検出して電波で発信するものである。
これもステレオカメラと同様、計器メーカーに特注して作らせたもので非常にコストの掛かったものであった。
従ってこれを使用するのは本船の一等航海士に意見を仰ぎ、海が充分荒れていて波浪観測に適していると見なされた場合に限られていた。
毎航海でも数基使用したが、投下した途端に発信器が壊れたのか、何も受信できなかったこともあったようである。
これら、波浪外力の船体構造部材にかかる圧力を直接測定するため、船首外板を含む船体各部の十数カ所に孔を開け水圧計を取り付けて、構造部材の応答と共に磁気テープなどに連続収録も行った。
静的な測定点は200点以上、動的計測点も数十点に及んだ。
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