2005年11月02日
(飛行船:22) 「グラーフ・ツェッペリン」のメニューカバー
「グラーフ・ツェッペリン」と富士山と帝国ホテルをあしらった浮世絵風の絵は1929年に行われた世界一周飛行の際のメニューカバーである。
この写真もフリードリッヒスハーフェンのツェッペリン博物館刊:Barbara Waibel、Renate Kissel著”ZU GAST IM ZEPPERIN”から転載した。
第3区間で用いられたと書いてあるので、霞ヶ浦を発ってサンフランシスコ上空を経由してロサンゼルスに寄港するまでの79時間の間にテーブルに出されたのであろう。
実は「グラーフ・ツェッペリン」の世界一周飛行の起点はニューヨーク郊外のレークハースト(ニュージャージー州)なのである。
アメリカの新聞王ウィリアム・ハーストが全世界の独占報道権の対価として10万ドルを提供する条件として起点をレークハーストにすることにしたのである。
「グラーフ・ツェッペリン」はフリードリッヒスハーフェンからレークハーストに向かい、そこから改めてフリードリッヒスハーフェンに向かって飛ぶことになった。
従って第1区間がレークハーストからフリードリッヒスハーフェン、一番長いフリードリッヒスハーフェンから霞ヶ浦までの11247kmが第2区間、霞ヶ浦からロサンゼルスまでの9653kmが第3区間に該当する。
このメニューに描かれている帝国ホテルを設計したのはF.L.ライトである。
帝国ホテルを建造したフランク・ロイド・ライトは、アメリカの生んだ建築の巨匠で1915年に来日し、数ヶ月かけて同ホテルを設計し、施工の監督や家具の選定などを行い、完工の前年1921年に帰国している。
大谷石と黄色い煉瓦を使った落ち着いたデザインである。
帝国ホテルは、中央玄関の部分がいまは明治村に移築されている。
私がここを訪れたのは随分前になるが、そのときにロビーで当時と同じ椅子に座ってコーヒーを飲んだ。
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